4/26/2006

Lots of L4 things

(1) パワーは持続時間に対して減少する.60分維持可能なパワー(これをMP60と書く)は30分維持可能なパワー(MP30)の92~95%前後.よって, 塩原(30分くらいだよね)のMP30=230Wが正しいとするならば,君のMP60は212~219Wだと思うよ.219Wなら4.29W/kgだか ら,僕より速いはず.

(2) 凸坊さんのモデルは,デフォルトの転がり抵抗係数が大きいかもしれない.ためしにanalyticcyclingのモデルで,つがいけのデータ(これには 僕の実測データから求めた転がり係数を使った)を入れ,君の去年のタイムで計算したら,204Wになった.MP67≒MP60だから,6月当時の君の MP60は204Wくらいじゃないかな.

(3) ちなみにanalyticcyclingのモデルに塩原2日目のデータを入れると,222Wになる.ここから推定される10月当時の君のMP60は204~210Wだ.

(4) 以上より,つがいけから塩原まで4ヶ月のトレーニングを行った結果,MP60は0~3%向上したと推定される.大雑把に言って1ヶ月あたり1%以下の向上しか無かったということだ.

(5) つがいけで君が60分を切るにはMP60=233Wが必要だ.

(6) 昨年どういうトレーニングを行っていたのか知らないけど,おそらく同じやり方ではあと23~29ヶ月以上を必要とする.

(7) MP60とLTにおけるパワーとはほぼ一致し,これはまさにL4トレーニングで向上を図ることができる.よって,他のトレーニングを減らしてL4トレーニングに集中すれば,もっとMP60を向上できる可能性はある.しかし結果は君のDNA次第だ.

(8) 前にも書いたように,L4以上のトレーニングレベルでは,HRによって強度を微妙に調整することは困難であり,効率を追求するといってもやりようがない.それでも,L4までならなんとかならないこともない.
---------------------------
Step 1. 30分TTを行い,後半20分の平均HRを求める.何回か行って平均値を取れ.これがおおよそのLT-HRだ.
Step 2. 95%~105%LT-HRでトレーニングしろ.20分を2本,レスト5分がベーシックだ.固定ローラーでスピードメーターを見ながら行うか,20分のコースでタイムを計りながら行え.2本目が1本目より5%以上遅いなら,1本目のペースが高すぎだ.
Step 3. 以上を週4~5回くらいやっても平気なはずだが,できないなら95%LT-HRを下限として全体にペースを下げろ.
Step 4. 慣れたら20分3本とか30分2本とかにしてもよい.
---------------------------
注: 過去記事「L4とかL5トレーニングというのは」のHR/Powerのグラフを見てくれ.L4トレーニングでは,パワーを一定にしてもHRがこれに追従するまで約10分かかっている.「入り」は慎重に.

(9) 正直,すでにある程度トレーニングを積んだ選手にとって,MP60はあまり短期間に大きく向上するものではないので,1ヶ月では勝算は薄いかもしれない.

(10) 以上のパワーデータは全てPremiumTubular w/RoadGlueで計算した.TrackGlue, TrackGlue, TrackGlue, ....

4/24/2006

What is “TrackGlue”?

先の記事で述べたように,チューブラーを使う場合一般的なRoadGlueの代わりに,TrackGlueを使うことで大幅に転がり抵抗を削減でき,乗鞍 のコースでは1分前後のタイム短縮を期待できる.これはTrackGlueがRoadGlueに比して非常に硬く,ヒステリシスロスを削減するためと考え られる.

TrackGlueとは何か? その正体はなんと“ニス”である.ただし,セラック(shellac)ニスという,やや特殊なものが用いられる.セラックニス自体は木工用品としてホームセンター等で入手可能である.

セラックニスの弱点は,ずばり耐熱性である.つまり,長時間のブレーキングにより溶ける可能性があるのだ.これはブレーキの無いトラックレーサーでは問題無いが,ロードで長い下りを伴う場合は問題となる.TrackGlueはややリスキーな選択なのだ.

そういえば,数年前のTDF,長い下りの途中でベロキの前タイヤが突如ホイールから外れて...という凄惨なシーンが記憶に新しい.もしかすると,当時のONCEチームはリスク承知でTrackGlueを使っていたのではなかろうか.

TrackGlueの使い方や実際の耐熱性については継続調査中だが,特に夏場のレースではリスキーと思わざるを得ない.筆者自身迷っていて,情報収集中である.トラックや競輪をやっている方で,TrackGlueのノウハウをお持ちの方がいれば,是非情報提供願いたい.

shellac関連の参考URL:
http://www.wattagetraining.com/shellac/R.B.T_shellac_post.txt
http://velo.way-nifty.com/velo/2004/07/post_4.html
http://biketechreview.com/v-web/bulletin/bb/viewtopic.php?t=674&sid=e6654e2692a82d6fa91e5431b0a754f2
http://www.shellac.net/faq.html

一番上のURLにわりと詳しく使い方が書いてあるが,素人が簡単に実行できるものとは思えなかった.熱のリスクに加え,さらに使い方もRoadGlueやテープより難しそうだ.どこかのショップでやってくれればよいのだが.

4/21/2006

ヒルクライムITT 機材の影響(転がり抵抗と重量篇)

俗に自転車は機材1割・人間9割などと言われるが本当か.もし1割しか影響がないとしても,競い合う人間の力が同程度ならばその影響は甚大である.これを定量的に検証してみたい.

Fig.1 はあるコース(マウンテンサイクリングin乗鞍)でITTを行った場合を想定し,80~60分のタイムでゴールするために必要な平均パワーを http://www.analyticcycling.com/ForcesTires_Page.html の計算式により求め,機材条件毎にプロットしたものである.尚,本調査ではホイールの空気抵抗の大きさの違いが考慮されていない点は予めご了解頂きたい.

■記号の意味は以下の通り.
- W: Weight of Rider and Bike [kg]
バイク,人体,ウェア,シューズ,ヘルメット等を含めた走行体の全備重量.
- TType: Tire Type
タ イヤ.PremiumTubularとはVittoria Corsa CX, Veloflex Recordといったレース用のチューブラーを指すものと思えばよい.同様にPremiumClincherとはDeda Tre Giro d'ilalia, Vittoria Open Corsa CX, Michelin ProRace2といったレース用のクリンチャータイヤを指す.また,RoadGlueとは一般的なリムセメントを,TrackGlueとはトラックレー シング用の高硬度なリムセメントを意味する.


■コースの条件は以下の通り.
- Slope (平均勾配) = 6.3%
- Elevation (上昇高) = 1260m
- Distance (距離) = 20.0km

■またその他の計算条件としては以下を用いた.
- Air Density (空気密度) = 0.950
- Nominal Crr (転がり抵抗係数基準値) = 0.004
上 記パラメータは,筆者が2005年に上記レースに参加した際の,PowerTapによる実測平均パワーとタイムが,http: //www.analyticcycling.com/ForcesTires_Page.htmlのモデルによる計算結果と合致するように決定したもの である.尚,タイヤ空気圧は全て115psi(8気圧)にて計算した.上記モデルによれば115psi以上の範囲ではどのTTypeでも大差がなかったた めである.

Fig. 1 (クリックで拡大)

■Fig.1より,本調査の範囲内では,タイム(Estimated Time)に関わらず以下のことが言える.
(1) TTypeの違い:
最 も転がり抵抗に優れるPremiumClincherと,もっとも劣るPremiumTubular+RoadGlueとの比較から,同じWなら PremiumClincherを使うことで約2.6%のパワーを削減できると言える.同じパワーならば約113~75秒のタイム短縮を図れ,その短縮量 はタイムが遅いほど大きい.

(2) Wの違い:
同じPremiumClincherで比較した場合,W=68kgとW=69kgでは必要なパワーは1.4%程度増加する.1kgの重量減は65~39秒程度のタイム短縮に繋がり,その短縮量はタイムが遅いほど大きい.

■まとめ
どうしてもチューブラーを使う必要ばあるのでなければ,レースではクリンチャーを使うべきである.大抵の場合,クリンチャーホイール+タイヤ+チューブはチューブラーホイール+タイヤより200~300g程度重量増となるが,これは20秒程度のデメリットにしかならない.
未 検証だがタイムが60分に近づくとカーボンディープリムのような,空力の大幅に優れたホイールの有効性が高まってくることが予想される.カーボンディー プリムの殆どはチューブラー仕様であるため判断に迷うところだが,もしチューブラーを使う場合でもTrackGlueにより損失を最小限に留めることがで きる.

尚,タイムを80分から75分に短縮するには僅か14W出力を向上すればよいが,65分から60分に短縮するためには24Wもの出力向上が必要である.上にいくほど「壁」は厚くなり,わずかなタイム短縮が困難になっていくのだ.
し かしチューブラーによる転がり抵抗の増加は,タイムが80分でも60分でも公平に約2.6%である.もし上位入賞を狙っていて,今チューブラーを使って いる選手は,クリンチャーまたはTrackGlueの導入を検討することが,軽量化よりも表彰台への近道になるかもしれない.

4/16/2006

4/16 ツールド八ヶ岳


本日予想外に天候が回復,標記大会が予定通り開催された.しかしながら峠付近は積雪があり,コースは16kmに短縮されている.

レース内容は無残.前日の練習の疲労が明確に残っており,たった46分のレースで,平均パワーが僅か238Wしか出ていなかった.
当初は多少疲れていても入賞圏内くらいはいけるだろうとタカをくくっていたところがあったが,途中で明らかに「重い」ことに気がついた.これは不味いと思 い,なるべく他の選手の直後について風邪に吹かれないにする.時々前に出ようと試みるが,前の選手の前に出ることすら苦しい.だましだましで何とかゴール にたどり着いたが,ゴール直前で切れて11着に終わった.

帰りは現地から十石峠経由で秩父まで自走したが,山でもろくにパワーが出ていなかった.かなり疲労が残っている模様.月曜日の休息に注意したい.

4/15 土坂峠

日曜日のツールド八ヶ岳は悪天候・中止の可能性も高く,また特にプライオリティの高いレースでもない.そこで練習量を確保するため,土曜日は坂戸の「じて んしゃや佳」主催の土坂ロード練習に参加した.電大下サンクスから裏松郷,寄居,秩父,土坂峠を超え帰還するコースで,都合6時間に渡った.参加者の中に は昨年度龍勢エキスパートクラス3位のH田選手も.

Fig. 1

裏松郷(Fig.1)では先行するH田選手が速い.だが,いずれ落ちてくるとにらみ,つかず離れずで追走.結局峠はH田選手が制したが,差は10秒以下で,まずまず.


Fig.2

そして本日メインの土坂峠(Fig.2).龍勢HCのコースであるが,今回はスタート地点から土坂峠の分岐まで,約9.2kmを競走区間とした.平地セク ションからH田選手の引きは強烈.ここではなんとか後ろにつくが速い.そして鳥居の前,途中の短い激坂で10mほど離れてしまった.
だめかと思ったが,ペースを維持して走っていると,どうやらそんなに離れない模様.そのまま鳥居の激坂を超えて進む.
走っていると,だんだんH田選手と近づいてきているのが分かる.そしてゴール1km前付近で追いつき,抜いて,そのままゴール.あとでパワーのグラフを見た限り,こちらはパワーが落ちていなかったので,H田選手の方が徐々にパワーダウンしていたことになる.

土坂峠9.2kmセクションのデータ:
AP 264W
NP 265W
Time 27:45

本日のデータより,現時点ですでに昨年ピークをクリアできており,6月,8月のレースシーズンへ向けて希望が持てると言える.

4/12/2006

乗鞍のスピード分布は

こんな感じです >> sugaken様

4/07/2006

Ergomo's good and bad

比較的新興のパワーメータ,Ergomo Pro (http://www.ergomo.net/).実物をさわりながら,日本代理店ゼータトレーディング殿に話を伺った.よいものであればPowertapにかわるものとして購入してみたい.ただし4/2現在,私の欲しいISIS版は未出荷.

(1) 機能
Powertapと違い,インターバル中にPowerとAverage Powerを同時表示することができる.これはSRMと同様.さらにNormalized Power(NP)やTSSを走行中に表示できる.ただし,インターバル単位でのNP, TSS表示はできない.残念なことに,表示項目のフルカスタマイズはできない.プリセットの組み合わせのみ.

(2) PCとの接続
ErgomoとPCを専用ケーブルで接続する.シリアル-USBコンバータを要する模様.
ソフトウェアは高機能なErgoRacer(CyclingPeaksのOEM版)が付属する.

(3)校正
Powertap やSRMのような静荷重による校正はできない.よって,経年変化でパワー出力値がずれていても,直接確認する手法がない.校正済みの SRMやPowertapと併用するか,もしくはErgomo社に送付して校正してもらうしかない.これは大きなマイナス.ただし,「K-Factor」 という係数を入力することで,パワー出力値を調整することはできる.

(4)バッテリー
ニッケル水素電池内臓.充電器付属.
フル充電から公称23時間連続稼動可能.

(5)サポート
BB部(センサー部)は2年保証だが,どこまでが保証対象なのかは?
もしBB交換の場合300ユーロと言っていたが本当か?
たしかSRMは年4~5千円のメンテナンス(電池交換,再校正)コストで,それ以外のコストは0に近いはず.ちょっと不安だ.

(6)マニュアル
貧弱.スクリーン表示項目の意味も書いてない(英語版オリジナルでも).
なんとなく推測はできるが.

(7)その他
HR機能はPolar相当.HRトランスミッターは付属しないが,Polar互換.
CPU部はファームウェアバージョンアップにより機能更新が可能.
バックライト機能あり.
BBセンサー部の取り付け時は全ての信号ケーブルを一旦取り外す必要がある.


以上,上記(3)や(5)がどうも不安である.やはりSRMを狙うか.
-------------------
2006/4/12追記

その後Wattage ListやBTR Forumの古い投稿をあさってみた.
BB寿命に関しては全く問題無いという意見と,年毎に交換を要したという意見があった.
これは不安なままだ.

長期間の校正ズレに関しては定量的にどうこうという投稿は発見できなかった.
校正方法そのものに関しては,校正済みのPowerTapかSRMがあれば,それらをErgomoと同時装着し,ErgomoのKfactorを調整することでパワー出力値を合致させることができる.
また初期インストール時,および定期的(このタイミングが不明だが....)にこのようなチェックを実行すれば,長期間の校正ズレを検出,および再調整できる.
PowerTapを持っている自分はこれで良い訳だが,SRMやPowerTapの無い人は...??

SRMもAmatureモデルならebayで格安で流れており悩むところ.また,"SRM Professional Compact"という,PCD110対応モデルが新たにラインアップされており,FSA仕様SRMと併せ,PCD110が使えないという悩みは無くなっ てきている.

PolarやCateyeが開発中という新型は未だ姿を見せない.
 

Powered by Blogger

Edit existing posts

Make a new post