12/24/2006

続コー ...ペース設定等

Coeの本、やっと読めてきたので、ちょいちょいメモを書いていくことにする。


1. LTペースの判定方法
両者とも、LTペースを重要なトレーニング指標と考えている。

CogganはサイクリングにおいてLTを示す指標として、Functional Threshold Power(FTP)を導入した。FTP=1h TT平均パワーと定義される。

Coeは、15~20kmのペースがLTのペースに近いと考えている。ハーフマラソンはちょうど1時間前後にあたるから、両者はおおむね同じ見解にあるといえる。


2. トレーニング強度の基準
Cogganはまた、FTPを基準としたトレーニング強度(Coggan's Training Level L1~L7)設定を行うことでも知られている。

これを使っている方ならお感じの方も居られるかもしれないが、L5(Vo2Max強度)のあたりで、強度設定がどうも旨くない部分がある。たとえば、Coggan's L5は106~120%FTPとして定義されるため、選手によっては実際のVo2Maxペースが旨く当てはまらない場合がある(筆者自信がそうではないかと思う)。左記はFTPを単一の基準とするデメリットと考えられる。

ただ、例のCoggan妻のpptを見ると、「90%Vo2Max」といった強度が書かれている。つまり、本当はVo2MaxトレーニングはVo2Max基準で決めたいのだが、単純化のために、FTP基準でL5を設定することにしているフシがある。

一方、Coeは、トレーニングを下記4つの強度に大別している。Vo2Maxペースに対する比率を考えるのが基本だが、一部でLTペースに対する基準を導入している。
① 「有気的コンディショニング」=LSDペース。Coggan's L2と同じくらい。
② 「無機的コンディショニング」=LTペース。Coggan's L4(91~105%FTP)とは違い、100~105%LTペースであるようだ。
③ 「有気的キャパシティトレーニング」=Vo2Maxペース。Coeはこの強度を90~100%Vo2Maxペースとしており、具体的には3000m(8分前後)~10000m(30分前後)ペースでトレーニングを行うとしている。
④「無機的キャパシティトレーニング」=Anaerobic Capacityペース。Coggan's L6と大体同じか。

Coeのシステムは、Coggan's L3~Low L4にあたる強度が「空白地帯」になっていることが一つの特徴である。Cogganは、このゾーンこそ、大きな身体的ストレスなくトレーニングボリュームを稼ぐことができ、結果的にLT向上効果が期待できる、と考えているのと対照的である。


3. LTトレーニング
Cogganといえば、2x20min@L4や、Sweat Spot Training(SST)形式が有名である。彼は多くの場合、強度は90%FTPか、SSTの場合それ以下の強度でも十分と言っている。ただ例外的に、FTPがVo2Maxペースに漸近している場合のみ、100~105%FTPでのトレーニングを行うそうだ。あくまで基本は、「やや低めの強度で、より長時間行うべし」。

Coeの場合も、Coggan同様の2x20minが基本形だが、ペースはあくまで100%LTペースを基本とする。そして、「選手の反応を見て、ペースを僅かに調整する」という、微妙なやり方が書かれている。一つの例として、20min@100%LTペース + 15min@105%LTペースという例が掲載されていた。


4. Vo2Maxトレーニング
Cogganは、Coggan妻の例(クドイ)で言えば6x5min@90%Vo2Maxペースで週2回など。一般的な強度や回数の考え方は、よくわからない。

Coeは、競技者のフォーカスに合わせていくつかの例を書いている。たとえば、長距離(5000m~マラソン)選手の場合は、週1回のVo2Maxトレーニングを推奨している。また、第1週目は2x3000m@10000mペース(≒2×9.5分@90%Vo2Max)、
第2週目は3x2000m、第3週目は4x1600m、第4週目は6x1000m@3000mペース(≒6×2.5分@100%Vo2Max)、第5週目は再び3x2000m...というように、サイクルを設けて強度と時間を変えていくやり方を提案している。


5. マルチティア
時期によるトレーニングのマルチティア構成、バランスは、選手の個人事情に大いに依存するコーチング・マターである。Cogganは、この辺のスペシフィックなアイデアを提供していない。ただ、一般論として、トレーニング初期12週間はSSTやLTペースでひたすらFTPを向上し、その後Vo2Maxを鍛えるといった考え方をしているらしい。

Cogganの大好きなLydiardも、*最低*12週間のLT向上トレーニングを行うのが基本のようだ。

Coeも、なぜか12週間は「有気的土台」の構築に充てるとしている。すなわち、LSD、LTペース、Vo2Maxペースを5:0:0×4週間、4:1:1
×4週間、5:3:1×4週間、くらいの頻度と長さで混ぜていく、マルチティア構成をとる。その後は4:4:2くらいの構成にシフトし、LTペース、Vo2Maxペースが多くなる。

(つづく、予定。)


12/11/2006

treasure trove ...

http://www.bases.org.uk/newsite/pdf/Abstract%20book%20etc.pdf
これまた、おいしそうなネタがずらりと....

12/10/2006

コー式

土曜日は雨天であった。先日アマゾンに発注した書籍の一部が納品されたため、ローラー台でL3ワークを行いながら半分くらいまで読んでみた。

読んだのはこれである:
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4469264717/ref=sr_aps_b_/250-4538406-8461042

かのDavid MartinとPeter Coe(ロス五輪800/1500m金メダリストSeb Coeの父)による書である。Hunter/Coggan本をしのぐ濃い本。googleで検索していると、陸上関係に加え自転車関係の人も結構読んでいるようだ。

読んだ範囲では、運動生理学等、少々トレーニングを深く考えてみたい向きにはお奨めの一冊だと思った。理論面から実践面まで事細かに350ページも書かれていて、少し予備知識が無いと噛み砕けないかな、という印象はある。

Cogganその他CF、Wattgeの面子が言っていることと合致する部分・しない部分があるが、その辺はもっと読んでからまた書こう。

 * * *

さて、昨今CogganやLydiardにはまっていた筆者であるが、やはり一部のコーチ、ドクターの見解に留まらず、多様な見方と自分の経験をすり合わせ、より客観的な意見を構築することが望ましい。そういった意味で、ボート、マラソンなど、他のエンデュランススポーツには積極的に目を向けるようにしているし、トラック・サイクリングの世界も興味深い。

そんな中で、上記Coe本も手にしてみた。一つ目を引いたのが、マルチ・ティア(Multi-Tier)アプローチによるトレーニングの期分けである。「期分け」というのは、要するに、ピリオダイゼーションとかのこと。

Coe本では過去のコーチ(Lydiardを含む!)を引き合いに出して、その問題点を指摘している。曰く:

(1) 過去のコーチは ..... 比較的単一の強度レベル(言い換えれば、特定の代謝系やスキル)に、一定期間集中して取り組ませる。このため、他の能力が過度に退化したり、レースにおいて求められる多様な能力の醸成が不足となる問題点がある。

(2) Coe式では ..... 複数の強度レベルを、異なる割合で年中実施することで問題点を解消する。

筆者はマルチ・ティア、と聞いて、↓のCFのスレッドを思い出してしまった。
http://www.roadcycling.net/t309834.html
どうやら、(1)のアプローチを「クラシックなピリオダイゼーション」とも言うらしい。

まぁ、Coeの主張はなんとなく経験則に当てはまるような話ではある。なにより、マルチ・ティアの源流は、他ならぬ「クラシックなピリオダイゼーション」のふるさと、旧東欧圏だという。本家がマルチ・ティアの方をサポートしているということである。

サイクリング業界で言えば、「クラシックなピリオダイゼーション」派に当てはまるのは、Chris Carmichael(Lanceの、少なくとも“表向きの”コーチ)やJoe Friel(“The Bible”... Cyclist's Training Bibleで有名)である。

マルチ・ティア派は、Cyrille Guimard(指導者としては、Cofidisなどの監督を歴任)がいる。その弟子のLemondも含まれる。

だが実際には、上記CFスレッドにも書いてあるように、どちらの派でも結局、一種のマルチ・ティア・ライクなやり方を行っている。Lydiardもそう。LydiardファンのCogganでも、LT(FTP) Focus期に“hard group ride”といったL5/L6エフォートを思わせるセッションが入っている。

2005~2006年シーズン、筆者は冬から春はマルチ・ティア型(ハードなグループライドやクリテリウム形式を週1くらいで取り入れた)、それ以降は「クラシックなピリオダイゼーション」(LTレベルへのフォーカスを強めた)に以降するような形をとった。自分なりに、幅広い基礎能力→スペシフィックなTT能力というアプローチをとったつもりである。

CPSのデータを見ると、確かに春までにより多くのゲイン(少なくとも、20min Normalized Powerに関して)があったようにも見える。

またCoe本やHunter/Coggan本を読むと、運動強度によって動員される筋繊維の量が異なるらしい。つまり、運動強度が上がるにつれ、Type I→I+IIa→I+IIa+IIbとなる。よって特にFTP付近以上でのスピードアップを求めるなら、IIaの持久力を鍛えることが必要であって、そのためにはL5トレーニングが適しているようだ。

 * * *

まとめ .... やはり、なんらかの形でのマルチ・ティアを取り入れた方がよいのではないか。

12/03/2006

最高安定状態

故リディアード先生の理論は、Cogganをはじめ幅広い層に影響を残した。
http://lydiardfoundation.org/

↓の資料はその凝縮である。ぜひご一読を。
http://lydiardfoundation.org/pdfs/al_lecture.pdf

Cogganもかなり影響を受け(つつ、近代的知識でブラッシュアップし)ているのが分かる。

 * * *

この資料で、p.10の“Miles make the champions”というのは、似たような言葉をサイクリング業界でも金言として良く耳にする。

だが、サイクリング業界ではちょっと違う言い方が幅を利かせている。典型的に言えば、そう、“Time make the champions”だ。筆者は、これはちょっと違うと思う。あくまでマイルではないだろうか。トレーニングに対するアダプテーションが、その負荷量によるというなら、負荷量の評価はエネルギー代謝量に呼応しているべきだからだ。より確実にはパワー測定によるエネルギー計算であるべきだろう。

p.10~11のあたりには、ランニングにおける具体的トレーニング論が示されていて興味深い。ちなみにリディアードの“Steady State”(p.6参照)、日本語では最高安定状態とか訳すらしいが、これはCogganのFTPの概念にも受け継がれている。Steady Stateペース同様FTPを基に、トレーニングペースを算出したりする訳だ。どちらも有酸素代謝能力の一つの代表値である。

 * * *

別のリディアードの資料に、有酸素代謝能力を個人のリミットに到達(一つの見方としては、LT/FTP/Steady Stateペースが限りなくVo2Maxペースに近づいている状態)せしめるためには、数年単位で取り組まなければならないと書いてある。これは、ボートや水泳でも同じようだ。ジュニアタレントを発掘し、早期から数年スケールで*有酸素*代謝能力の向上に取り組まさせるのが、やはり重要ということだろう。

さらにサイクリング業界について言えば、(語弊を承知で言うなら)無酸素代謝能力は言うにおよばず、レース経験でさえ、有酸素能力の最大化に要する時間に比べれば、短時間でそこそこ獲得できるものではないだろうか。少なくとも、無酸素代謝能力は僅か10~12週間で最大化できると書いてある(p.25)。
※もちろん、経験はピークにいたるまでもっとも時間がかかるのかも知れないが、「そこそこ必要なレベル」でよければ、そうでも無いような気がする。あくまで私見。


そしてCPSをお使いの方なら、クリテリウム的な断続的エフォートでさえ、そのNormalized PowerはFTPによって制約されている(つまり、FTPの高い選手ほど、沢山アタックでき、すぐ回復できる)ことをよくご存知であろう。FTPが低ければ、そもそも速い集団内で余裕がなくなるはずだ。つまり、レース経験を積むどころではないと思う。
※無酸素能力トレーニングしなさすぎ、という可能性も無論あるにはあるけど。

だからやはり、筆者は有酸素代謝能力の最大化が殆どの選手にとって重要課題と考える。日本のトップ選手は、どれくらい有酸素代謝能力の最大化を完了しているのだろうか?

12/01/2006

Crrまとめデータ

http://www.biketechreview.com/performance/images/AFM_tire_testing.pdf

CrrデータといえばTour Magazineのものが有名だが、BTRの有志がコツコツと集めたローラーテストデータもポツポツ投稿されている。

これは
その中でもAFMさんによる力作。

Record clincher/Pro2 Light/Evo CX/Dedaなんかが上位にくるのは相変わらず。ちなみに筆者はパンクリスクが怖いので、Pro2 Light + Michelin Latex 18/20派である。RecordやDedaはかなり薄い(→危ない)、らしい。

Tubularでも、キワドイつくりのRecordなんかはクリンチャーに匹敵するものがある。Zipp TubularはVittoria製らしいが、ちょっと謎。グルーがよく乾いていた状態だったと報告されていたっけ。

Schwalbe Ultremoなんかも早速載ってるけど、いまいちだなー。

Tufo Race Lightは、(とてもTufoとは思えない)すごい結果が出ているが、これはトラック用タイヤ。よく見ると、0.0026台を出しているときは200psi (!)....

参考として、この表の見方。Crr値0.0001につき,40kph付近では1W程度の抵抗を生じると考えればよい。ただしPower=Crr*M*g*Vなので,低速域(10~15kph)では0.3W程度の差となる.
※pdfのp.2に書いてある通り、上記はM=45[kg]付近で、一輪相当の想定。つまり、体重+自転車で90kgになるライダーが、後輪だけ3本ローラーに乗せて抵抗を測っていると思えばよい。二輪では倍となる。

  *  *  *

ちなみに、2006年のノリクラチャンプタイヤ、Maxxis Xenith Equipe Legere (日本名、Xenith Pro Light)のデータも以前ポストされていた(以下に抜粋)。Michelin Pro2Race +17%の転がり抵抗。同タイヤは低転がり抵抗の62Aコンパウンドを全体に使用している。上位製品のCOURCHEVELもセンターは62Aコンパウンドだが、ケブラーベルトが入っている分Equipe Legereより、やや転がりにくいと思われる。いずれにせよ、Pro2 RaceやPro2Lightにはかなわない。
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Tire/width/pressure/speed/watts/Crr
XEL/23/7.5/20.0/81/Crr .0042SRM
XEL/23/7.5/19.8/79/Crr .0041SRM
XEL/23/7.5/19.9/80/Crr .0042SRM

PR2/23/7.5/20.5/73/Crr .0036SRM
PR2/23/7.5/20.0/71/Crr .0036SRM
PR2/23/7.5/20.6/73/Crr .0036SRM

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ということは、アノ選手やコノ選手はPro2LightかRecord Clincherを使えば....???

実践PMC

http://www.freewebs.com/trainwithpower/PM.ppt

PMCは実際どれだけ使えるか? AC、例によって自説流布のためなら気前よくデータ放出。見習いたい態度だ。

前半のところはCPSのサイトにすでに書いてあるからいいとして。

p.7/8に、過去の同様な取り組みでCTL/ATL Constatntにあたるパラメータ(T1/T2)にどのような値が採用されていたかしめしている。興味深いのは、CTL Constant(T1)が殆ど40前後(CPSのデフォルト=42に近い)なのに対し、ATL Constant(T2)が最近のワークでは11, 12, 19と、段々大きくなっている点。CPSでのデフォルト値は7だが、Cogganもp.23でATL Constantに注意せよ、言っている。こちらは変化させてフィットを見た方がよいのかもしれない。

p.12はおなじみAngie Vargasのデータだ。なんで毎回これなんだ???
ああ、でもこのスライドだといつ何のイベントがあったのか分かる。

p.15/p.17もおなじみ... 自分のデータだな。

重要なのは、p.20以降。
PMCベータテスターが、各デュレーションに対する平均最大パワーを記録したときの、TSB値が集計されている。Cogganは5min以下のデュレーションに対する最大パワーは、よりTSBの高いときに出やすいと言いたいらしい。正直、あまり著しい傾向は見られないような気もするが....
どっちにしろ、TSB+5~15付近で最頻となる傾向はありそう。

11/28/2006

FTP and Vo2Max contd.

http://www.roadcycling.net/showpost.php?p=2461295&postcount=2
昔のCFのポストだが、非常に実用的なのでメモしておく。FTPフォーカストレーニングをすべきか、Vo2Maxフォーカストレーニングで「天井」を上げるべきか、という点に関して、特に↓この辺で。
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From a practical perspective, what I would suggest is that if 1) somebody's functional threshold power is four or more rows above their 5 min power, OR 2) they've been focussing on raising their functional threshold power for an extended period and have stopped making progress, then this might be an indication that their bumping up against their upper limit, and it's time to focus on raising the ceiling (i.e., VO2max). OTOH, you also need to keep competition goals/event specificity in mind as well - for example, somebody going after the hour record may want to still keep pounding away trying to raise functional threshold power, because even a small percentage gain could be critical to them.
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5 min power (5MP)というのは、Vo2Max(とAWC)をまあまあ反映する一つの指標である。Coggan(筆者もそう)のようにAWCが低いタイプの選手は、100% Vo2Maxに相当するパワーを5分程度維持できる。AWCが高い(i.e., スプリンター型)選手はこれが110%くらいになると書いてあった。

Power Profile ChartでFTPが5MPの4行上というと、FTPが5MPの92~93%に到達しているということになる。ホンモノのTTerはそんな感じなのであろう。

筆者にとっても夢である。FTP=270~280Wくらいならなんとかなるかも知れないので、数年オーダーでの一つの達成目標になっている。

ちなみに筆者はまだ85%にもとどかない。「収穫逓減の法則」により、これから次第に伸びは鈍っていくではあろうし、皆が皆そこに辿り付けるわけでもなかろう。だがマラソンやボートの世界でも言われているように、エンデュランスパフォーマンスが個人的ピークに達するまでには、数年単位での地道な修行が必要であるようだから、まだ分からない。TTerへの道は長し、と思って励む。

11/23/2006

2005→2006シーズン総括

総括というか、統計。

まずトレーニングタイム/TSS/IF。40時間/月、10時間/週、600TSS/週くらいが平均か。実はあまり乗ってない? 必ずしも良いかどうかはわからないが、IFは0.8近辺を維持できている。


次にPMC。良かったのは6月初旬。悪かったのは8月全体。
CTL rampのばらつき、疲労管理、ピーキング時の強度維持が反省点か。

二要因説、PMC

http://www.sandcplanning.com/information/colum/colum_9/index.html
↑これ面白い。PMCもその辺のトレンドを追ったものであると。自分の経験的にも「二要因説」の方があっている気がする。ただ、「強度」っていう概念は上の記事ではすごくあいまい。やはりTRIMPなりTSSなりで数値化して、個人特性を判断できるようにすることが重要ではあるまいか? TSSはメタボリックなストレスを表しているという意味で、割とうまいパラメータではないかと思う。

11/22/2006

FTP and Vo2Max

以前の記事で取り上げたCogganのL5インターバルに関する考察.これに対する最近のWattageにおけるディスカッションを見て考えた.

(1) Cogganの意見: Vo2Maxフォーカストレーニング期間には,FTPは落ちる傾向にある.これはトレーニング内容がL5エフォートと,その間のレスト(L1/L2)で占められるからである.

(2) Dave Harris(MTB 24h enduro 選手)の意見: L5フォーカストレーニング期間の後,FTPも向上している.

上記(1)が正しいならば,1) Vo2Maxを向上しても,それに呼応して自動的にFTPが向上する訳ではない,2) FTPが重要となるイベント(e.g., TT)を前にしては,L4ワーク量を維持すべきということになる.Terry Ritterの言っていることもこれに近い.

よく,ピーキングのプロセスでL5/L6ワーク量を増やしていくことがあるが,これはTT型イベント対策の場合は必ずしも当てはまらず,むしろTTパワー(L4)でのワークアウトを行うべき,ということになるのか.

一方,上記(2)はCogganと真逆の意見である.おそらく,L5フォーカストレーニングといっても,同じ期間にL3/L4ワークもかなり含んでいるか否か,どれだけL5に集中特化しているかで,だいぶ結果が違うのでは?

この前の記事のIP選手向けVo2Maxフォーカストレーニングの例を見る限り,Cogganの場合はL5インターバル 2回/週 + レースorレースライクな練習 2回/週となっており,いかにもL4ワークが少なそう.

一方Dave Harris選手はその専門から考えて(この選手はCogganがたびたび,異常にCTLの高い/TSBの低い状態を継続している例として引き合いに出す),L5フォーカスといいつつその他のワークアウトも相当行っていることは想像に難くない.

この辺は,ターゲットイベント,トレーニングのフェーズ,受容可能なTSS等との兼ね合いもあるので,「自分の場合はどうか?」を見ていくしかないのだろう

11/19/2006

Track applications

以下、非常に参考になるスライド。ダウンロードするには無料レジスト要。
http://www.fixedgearfever.com/modules.php?name=Downloads&d_op=getit&lid=18
http://www.fixedgearfever.com/modules.php?name=Downloads&d_op=getit&lid=17

トラック選手・コーチにはもちろんのこと、一般のRR/TTにフォーカスする選手の参考にも良いと思う。
どちらもCogganが数年前にどこかでプレゼンテーションを行ったときの資料らしいが、実際にUS Track Individual Pursuit(IP)女子チャンピオン、Angie Vargasのトレーニングデータが掲載されている。

特に注目したいのは、p.26~37のトレーニング例。IPにフォーカスする選手でも実に5ヶ月をLT Focusに当て、オフシーズンから10%近いFTP向上を達成している。かつその間、5sec/1min/5minのパワーダウンは最小限にとどめられていることがわかる。

また、2000年ピークから2002年ピークのデータを見ると、4%ほどのFTP向上が見られる。一般にトラック専門の選手は5sec/1min/5minに比してFTPが弱い傾向(その分、スプリントは強烈で、しかもp.37のグラフのように1minあたりが著しく向上する)にあるらしいが、それでもこれくらいは向上できるという例。

TTer型の選手ではFTPがPeak 5min powerの90%以上に到達する例がPower Profile Chartに載っていたと思うが、IP選手の場合は1minパワーの強烈さから、FTPが5minの70%くらいにまで乖離している。こういうこともあるので、(特にスプリンター型の選手の場合)5minパワーとFTPの関係だけからは、その人のFTPがVo2Maxの何%くらいにまでトレーニングされているか、これからどれくらい伸びそうか明らかでない。

自称TTer型の筆者としては、p.36のグラフでFTPがどの期間に向上し、それがp.31~34のトレーニング内容と結びついているかに注目したい。無論、トレーニング内容はある一瞬のサンプルで、実際は強度・長さなどを変化させているはず。moderate intensityとか、hard group rideとかいうのは、それぞれL3やL5/L6の刺激を入れるような感じだろうか?

龍勢ヒルクライム2006

本シーズン最後のレースとして参加。気温低。路面一部ウェット。


結果: 38'13 (new PB, 4th in age 30-35)

昨年度から-1.5分のタイム短縮に成功。本年度の試走では40'6が限界だったので、まずまず。総合9位に入れたのも良しとしよう。

しかしなんと、平均パワー的にはわずか253Wに終わっている。試走時最高に比して+3Wでしかない。レストをとったわりには、そんなもんか。今回は、前半のフラットセクション(スタート→鳥居まで)で楽ができた(上記の試走最高時に比して、-38W(!)で僅か7秒の遅れ)のが大きい。このレースでは、集団の動き次第でタイムが大きく変わってしまうのが難しいところ。

11/16/2006

CTL ramp rate

http://www.cyclingforums.com/showpost.php?p=3058787&postcount=25
より:
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The general idea would be (corrected):

- initial weekly load: initial 7x(CTL+ 6 x Ramp)
- increment in weekly load: 7 x Ramp

For 5 Tss/week increment in CTL=70 (corrected):

- initial weekly load: initial 7x(70+30)=700
- increment in weekly load: 7x5=35

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これは覚えておくと便利かも.(その日のTSS) = (前日のCTL) + 6 となるように1週間毎日トレーニングすると,その週の終わりには,だいたい(前週終わりのCTL) + 1になる.CTL 上昇率の目安 といわれる +3~8/week を目指すならば,TSS = (前日のCTL) + 18~48とする必要がある.
※この週当たりCTL増分を上式ではRampと呼んでいる.

例:Ramp = 3
 11/10 CTL=90 からスタート
 11/11 TSS 108 (=90+6×3) → CTL=90.42
 11/12 TSS 108.42 (=90.42+6×3) → CTL=90.85
.......
 11/17 TSS 110.54 (=92.54+6×3) → CTL=92.96

尚,TSSで+18/dayを達成するには,例えばL2(~60%FTP)でだいたい+30分/日,L3(~70%FTP)で+22分/日,L4(~90%FTP)で+13分/日の増加が必要である(レストデイを考慮していないことにも注意).

実際やってみるとお分かりになると思うが,このような上昇レートを長期間維持するのは,体力的もしくは時間制約的,あるいはその両面において,必ずしも容易でない.特に室内練習の増える冬季となれば,なおさら.たった3ポイントでも,実際には結構むずかしい気がする.

だがトレーニングにおける漸進性の原則は,時にはこのようなシビアなプログラムも必要であることを示している.また個人の時間制約・生活パターンに応じて旨く練習を組み入れたり,長期計画を重視してRampを調整するといったプランニングスキルが重要と考えられる.無理なくプランニングしたい.

11/08/2006

参照先

http://tarmac2006.blogspot.com/2006/10/blog-post_14.html
↑の記事でCogganがリファーしていた文献と,Cogganの態度について
BTRの皆さん(というかwillet兄弟)が燃え上がっている↓
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=1033
うーん,やはり参照先の検証も重要だな...
Cogganも自説裏付けのために,わざと自分に都合よく何かを解釈して,
吹いている場合があると.まぁ学者なら当たり前か.

※昔はCogganもBTRに出入りしていたが,20MP/Baseの記事の時に仲違いしてそのまま.

11/05/2006

それでもスプリント

ちょっと前のWattageのポストだけど,いまさら目にとまったので.

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RE: [Wattage] thoughts on level 5 intervals
2006/09/29 9:26

--- mike hebe wrote:

> I feel that more emphasis for mass-start
> racers needs to be
> shifted away from FTP and more towards level six training
> and racing. I
> agree that one must have the engine, but the determining
> factor of mass
> start success is how your body can withstand all of the
> change of pace.

The most important determining factor for "how your body
can withstand all of the change of pace" is . . . FTP.

This discussion is somewhat up-in-the-air unless you
specify how much more L6 work you think needs to be done
(and I agree that there must be an adequate amount), but I
think Arthur Lydiard got things right when he said that AWC
can be developed fully in 3-4 weeks of workouts 2-3 times
per week, after you've maxed out your aerobic development:

http://www.freewebs.com/velodynamics/LydiardOsaka90.pdf
-- see p. 2 ff.

And ponder this:

http://www.freewebs.com/velodynamics/Fig.%2010b.GIF

when three 30 second all-out efforts were performed with 4
minutes rest in between, by the 3rd rep, 63% of the energy
demand was met *aerobically*.
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上のリンクは例のリディアードの話.

下のリンクの図をここに引用する.スプリント中には①乳酸解糖系,②PCr系,③有酸素系の3つの系から筋肉へのエネルギー供給が行われる.30秒もがき/4分レストを3回繰り返すと,全体にパワーが落ちていくのは無論のこと,3回目では殆ど③からエネルギーが供給されていることが分かる.山岳レースや,加減速を繰り返すクリテリウムなどのゴールスプリントでは,もはやスプリントとはいっても有酸素能力が支配しているらしい.ボーネン,フレイレ,ベッティーニあたりのワンデーの強さは,(生まれ持った)そこそこのスプリント力 + 高レベルの有酸素能力に由来するということかな?

11/03/2006

悪路走行禁止

第6回 龍勢TT(於:秩父市吉田町,主催:せきなお選手)に参加.
くわしくは主催者webを参照されたい.参加各位お疲れ様でした.

今回の参加者(順不同・敬称略):
せきなお選手
かんchan選手
js1ktr選手
F森選手
K内選手
OK田選手
tarmac選手

TTの方は,初参加・強豪js1tkr選手の圧倒的パフォーマンス,参加2回目・OK田選手の快走に終始.

js1ktr選手は,スタート後しばらくして全員をちぎった模様.さすがの実力.
これだけ実力(FTP/weight)が違う場合,後続は無理についていくと自爆に繋がる可能性がありそう.

地元チーム員であるOK田選手の伸びはすばらしい.これなら,本番タイムでも筆者を上回る可能性大.くやしいやらうれしいやら.

筆 者は前回からさらに平均パワーが低下しており,とてもついていけない.40分43秒.今回,前半フラットセクションはあえて千切れても良いから,なるべく レース本番と同様なパワー配分のシミュレーションで後半までのペース維持を心がけたが,ろくなパワーを出せていなかった.ちょっと,TSBを長く・深くネ ガティブに下ろしすぎているのかもしれない.


    *    *    *
さて,TTの後せきなお選手と塩ノ沢峠へ練習にいった.
上のグラフの真ん中当たりが,塩ノ沢峠到着時点である.
...その後がずいぶん長いことにお気づきであろうか.
この後まさか,ロードバイクの丈夫さを再確認する事態
がまっていようとは... (気が向いたら続く)

11/01/2006

PTプチノウハウ

定価45万円となったSRMを尻目に,国内パワーメータ市場を席巻しつつあるPowertap(筆者調べ).国内第一人者(自称)の筆者が長年蓄積したプチノウハウをここに公開する.

1. ハブ電池SR44はここが安い.CR2032共々大人買いでストックが吉.
http://akizukidenshi.com/catalog/items2.php?c=batt_e

2. グリス/防水
買ったらすぐ,コンピュータとハブのOリングにシリコングリスを薄く塗ること.
コンピュータの防水をさらに向上するには,サランラップまきまきが吉.
コンピュータと台座の接点にはタミヤの接点グリスを塗るのが吉.

3. ソフト
付属ソフトは×××.使わずに速攻でWKO+を買おう!

10/30/2006

秋といえばやはり本

Block Training関連
CFのこのトピック,去年から続いてるなー.明確にブロックの優位性を裏付ける根拠は出ていないようだが.で,これが話題のDavid Morrisの本だな.買ってみようか.

Road Cycling
これはどうかなー まあいいか.

High-Tech Cycling

超定番,Edmund R. Burkeの“High-Tech Cycling”.実はまだ読んでません.すいません.すぐ買います.

Complete Medical Guide for Cyclists
Andy Pruittのこれも興味あり.うーんリストが伸びてきたな...
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(2006/11/2追加)
Greg Lemond's Complete Book of Bicycling
by Greg Lemond, Kent Gordis

Bicycling Medicine: Cycling Nutrition, Physiology, Injury Prevention and Treatment For Riders of All Levels
by Arnie Baker

10/26/2006

15~20時間/週あったら?

http://www.cyclingforums.com/t370453.html

SST(Sweet Spot Training)が最近はやり.
有酸素代謝系に的を絞ってTSSを稼ぎやすいのが理由の一つか.

OPに対する#12のコメント(by coggan)が面白いかな.
以下,上記URLより引用:
-------------------------------------------------------------
Default Re: SST: Does less really equal more?

Quote:
Originally Posted by NM87710
I may have an opportunity to train 15-20hrs/wk next season so I'm wondering how the extra time might help me(if any) vs. a "compacted SST model" of 10 hrs/wk.

Sooooo, if you had 15-20 "free-time' hrs available what training would you do??

1) Bet The Farm on SST: focused SST effort 10 hours week(building CTL), eliminate L2 junk miles, rest

2) Stick One Toe in the SST Pool: Use a SST model as above, add more L2 for a total of 15-20hrs and BIG CTL.

3) Not So Fast I'm Old Skool: Use 20hrs/wk to build a tradition 8-12week "base" then start adding L3/L4/L5?

4) Others?


I'd take option #2, realizing that this will result in one of three things:

1) a clear improvement in performance ability,

2) no improvement in performance ability, or

3) a reduction in performance ability.

If the outcome is #1, fantastic, but even if the outcome is #2 or #3, you'll still benefit by learning more about your own personal optimal training load, specifically how much you can handle before you either plateau or break down. Note, however, that this is based on the assumption that you're in the sport for the long haul, and can afford to have a poor season if it results in better results down the road. Next year is not an Olympic year, though, so if you're going to roll the dice now's the time to do it...you don't want to employ an experimental training approach in 2008. (I'm really only half-joking here, as this is how the elite coaches and athletes think, and even if you're not aspiring to race at that level, it's still worth mentioning because it emphasizes the importance of long-term planning.)
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10/25/2006

Tube test

http://weightweenies.starbike.com/phpBB2/viewtopic.php?t=22537

すっかりおなじみ独Tour Magazine,待望のチューブ性能試験を敢行.

テスト方法(手順,使ったタイヤ)等が見えないので信頼度が不明だが,上記引用によれば下記の結果が.
----------------------------
CRR (Speed 30km/h, the lower the No. the less W is to be used to overcome the CRR of tube & tire)

Latex 80g (Michelin) 23.9W
PUR 60g (Panaracer) 25.1W
Butyl 50g (Conti Supersonic) 25.9W
Butyl 75g (Hutchinson) 28.8W
Butyl 104g (Schwalbe) 32.1W
----------------------------

本結果で注目すべきは:
(1) "PUR"(ポリウレタン)というのは,おそらくPanaracer R-AIRのことであろう.
これの評価結果は初めてではないだろうか.Latexとまではいかないが,ブチルより優位である.これはエコカー関連の方々が採っているデータの傾向(Latex<ウレタン<ブチル)と一致している.
(2) 軽量ブチルはノーマル(厚肉)ブチルよりよいが,80gのLatexにかなり負けている.ノーマルブチルをレースで使うなど問題外であろう(耐久性・修理性が問題になる場合を別として).


BTRの諸氏に当該資料が到達するのが楽しみである.

10/22/2006

参りました


せきなおカップ(注:主催者よりのコメントにより修正 2006/10/23)龍勢TT(第4回)に参加.

参加者各位おつかれさまでした.
ごちそうさまでした.
参りました.

今回はせきなお選手と会うことができた上,特別参加・コンドル選手の走りを間近に見ることができ有益であった.

コースは前半3kmがフラット,その後約6.5kmのヒルクライム,約700mの下り,最後に3.3km程の登り返しというプロファイル.

序盤よりコンドル選手,せきなお選手がオーバー300Wで引き,私には完全なオーバーペース.これに気がつきながらも,今回はあえて挑む姿勢であり,追走を試みる.
....
あえなく激坂の上で切れた.
後半はこの前半ハイペースが祟って,240W Avg.程度まで落ち込む.
ゴール後確認すると,全体で251W Avg.と八方HCあたりと比較して平凡.
あたりまえだが,自分のペースを守らなければ好結果は望めない.

参加者+Provisional Result(ゴール着順・敬称略):
 #1 コンドル選手 38.5min @290W Avg.
 #2 せきなお選手 39.0min
 #3 tarmac選手 40.1min @251W Avg.
 #4 OK田選手 41min?
 #5 T海選手 ?

過去の経験から,レース時はここから1分前後全体に速くなると思われる.

コンドル選手のポテンシャルをもってすれば36分以下も可能だろうが,今回は会場まで100kmほど自走済みであり,必ずしも脚がフレッシュとは言えない模様.
せきなお選手も後半まで食下がっていたようだから,やはり速い.
OK田選手はロードではSクラスの脚力を誇るが,今後はFTPの向上が優先課題か.
経験年数の少ないT海選手はこれから.

まだまだ,を認識する一日であった.

10/16/2006

すいません,トラックバックできません

当ブログはセンチメンタルなコンテンツは掲載しない方針なんですが,と言いつつ.

・私は走っているうちに「やつれてくる」感覚が好きです.これはレースに無縁の時代から変わりません.学校の遠足でも,後半やつれてきてからハイでした.これが原点のような気がします.
・一人で長距離走る方が,多数で走る(休めてしまう,人に合わせて休まなければならない)より好きです.レースでも,集団の駆け引きとかあまり興味ありません.時差スタートであればよいのに,と思います.
・パワーメータを手にして以来,休んでいるとリアルタイムに表示されるので,さらに集団走行がイヤになりました.
・最近は,やつれるまで走ってもトレーニング効果的には必ずしもプラスでないことが分かってきたので,ちょっと悲しいです.将来的には,やつれ放題系統(ブルベ,マラソン系?)に走るような気がします.
・レースで上位に来ても,平均パワーが低いとガッカリです.平均パワーが高くても,その割にタイムが出ていないとこれまたガッカリです.
・私は見るのも走るのもTTが好きです.TDFのDVDとかだと短く編集されていたりして悲しくなります.自分を選手に投影しているのだと思われます.
・私も(一応)チーム名名乗っていることありますが,ろくすっぽ練習会にも行かなければ,チームジャージももってないです.いろいろ拘束されるチームは御免です.

10/14/2006

平均パワーが同じなら休んでも同じ?

wattageでCogganがvaluable contributionだと言ってreferしていたので.
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Muscle Metabolism during Constant- and Alternating-Intensity Exercise around Critical Power.

6人の熟練アスリートが2種類/各30分のサイクリング運動試験を実施.2種類とも平均パワーは同じに設定してあるが,一方は一定パワー(@90%CP*),もう一方は30秒on/120秒offの可変パワー(on@158%CP,off@73%CP)を指示.

試験実施前後にアスリートの筋生検**を実施.2種類の試験で結果に大差はなかった.よって,ある時間の運動についてその平均パワーが同じならば,運動中にもがいても休んでも筋組織レベルの反応はだいたい同じと思われる.

*CP...Critical Power.FTPとだいたい同じと思えばよい.
**筋生検(Muscle Biopsy)....筋組織の直接採取らしい?
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lactateやpHは運動持続時間や体感強度(RPE)と深い関係があるようだから,例えば「30分間一定パワー(e.g., ヒルクライム)で平均250Wだせる人は,30分間可変パワー(e.g., クリテリウム)のレースでも平均250Wだせる」.

無 論,平均パワーが同じでも,もがいたときの最大パワーはまた別問題だから,実際の「速さ」とは一概に結びつかない.ただし,も がくパワーが平均パワーに対して大きい選手(i.e., スプリンター)は,もがけば速いが,もがいた後の失速も大きくならざるを得ないことに注意が必要だ.

これはまぁ,経験的によく知られていること(日本語では「地脚」などという...)と一致するというだけか.

尚, 先の記事で示したLydiardの講演によれば,スプリント力(≒anaerobic capacity)は トレーニングを積んでも(あるポイントからは)そんなに伸びないとされている.よって,クリテリウムに主眼を置くスプリンターと言えども,年次漸進的に強くなりたければ,平均パ ワー(≒aerobic capacity, critical power, LT)の向上に着目した方がよさそうだ.ヒルクライムも速くなって2倍おいしい.

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ちなみに,これでトレーニング効果も同じということになるか? もし今回の検査値(glycogen, lactate, PCr and pH)がアダプテーションのトリガーだとしたら,少なくとも筋組織のトレーニング効果も同じ? 多分違うな.

しかし120秒も休んでも同じっていうのは意外だなー.

10/06/2006

どうやって測ったんですか?

http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=988&sid=5fba7987ee60e12c3ac4790f01c52697

Michelin によれば,タイヤのエアロドラッグは2~5W(条件不明,ただし20cなら小さく/23cなら大きく,低速なら小さく/高速なら大きく)程度であり,20c⇔23cの転がり抵抗の変化(約2W@40kph)に比して そんなに大きくないとの見地から,「よっぽど高速域で走る人でないと20cの意味なし」というマーケティングディシジョンに至り,20cはあまり作ってな いと.へー.

10/04/2006

Lydiard

他の業界に学ぼうシリーズ③:マラソン編.
http://www.freewebs.com/velodynamics/LydiardOsaka90.pdf
ちょっと古いが,いいテキスト.サイクリストにもランナーにも,アスリートにもコーチにも示唆に富んでいる.それに割と分かり易いと思う.

ランニングもローイングやトラックサイクリングと同じで,「変速機」の使えない種目というのは割り引いて考える必要はあるだろう.

というか,べつにランナーな人には当たり前なのか.リディアード式って良く目にする.
CogganもLydiardのファンで,いろいろなヒントを得ているフシがある.
うーん,やはりサイクリング業界は他のエンデュランス業界の肩に乗ってるなー.

ポイント:
(1) Anaerobic capacityはそんなに伸びない.Aerobic capacityは年々伸ばせる.
※Aerobic capacityは,Vo2MaxとLTの両方をさしている? Anaerobic capacityはMAODだと思う.

(2) Anaerobic capacityを使うような高速域についても,どれだけAnaerobic capacityを使うかはAerobic capacityの大きさ次第.

(3) トレーニングボリュームは距離より時間で測るべき.
※距離は能力(i.e., Aerobic capacity)によるのだから,当たり前っちゃー当たり前.

(4) Anaerobicトレーニングをやりすぎるな.
※マフェトンはこの辺をオーバーかついい加減にピックアップしすぎている.

(5) トレーニングは個人性の高いものだ.したがってコーチはアスリートが「何をすべきか」だけではなく「なぜそうすべきか」を説明できなければならない.

(6) Anaerobicトレーニングは3回/週,3.5~4週間でピークにもっていくことができる.またその後も週1回のインターバルセッションによって維持できる.
※よって,それ以上注力する意味がない.

(7)ヒルトレーニング期間では,週3回,15分~一時間のセッションを行う.
※これはCoggan的に言えばFT(LT, MLSS, OBLA)レベルのトレーニングということかな?
この前調べたボートのKurt Jensenのレベル"C"トレーニングの持続時間とも類似性がある.

9/30/2006

CPS and T-mobile

http://contagion.dayport.com/viewer/viewerpage.php?Art_ID=336&PreloadContract_DefID=1&Contract_DefID=2&tf=contagionviewer.tpl&Category_ID=3
↑この左側でしゃべってるオッサンがHunter Allenです.というのはさておき,たしかにCycling PeaksがT-mobileのオフィシャルサプライヤーになるって言ってる.というか,使ってなかったですか....

9/29/2006

New polar power (2)

http://www.cyclingforums.com/t-366713-15-1.html
Interbikeに行った人のレポート.写真を見ると,やっぱ格好は抜群だなー
シートステーについてるのはトランスミッターと電池ボックスかな?
浸水に弱い部分を分離するのはいい設計だ.

値段は,まあそんなもんか.
CS600 computer alone = $400
CS600 with power kit = $650

きになるのは:
Yes, they allege that they addressed both installation issues ("the new model is both easier and more intuitive to install") and power measurement on a trainer issues.
結局,解決手段もデータも未公開な訳ね...

9/27/2006

New Polar Power

http://forum.tour-magazin.de/attachment.php?attachmentid=60085

Wattageにて話題になっている通り,かねてよりお噂のpolar cs600 と新型パワーキットがいよいよ発表.2007年のどこかで発売.合計640ユーロだから,またpowertapと同じ価格帯かな?格好は,Polarの方がさすがに立派.

結局,方式のベースは現在と同じCC kinetics/Bolton Engineeringの方式っぽくみえる.PTやSRMのようなストレインゲージ系の技術は採用されなかった.固定ローラーや,特定ギア組み合わせでパワーがおかしくなる問題,静荷重で校正できない問題はクリアできたのだろうか...

9/25/2006

SRMママチャリ

いいなあ.俺もママチャリにつけてみたいなー.
http://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/~takaishi/version-up.html

今度研究業績の方も読んでみよう.
http://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/~takaishi/

9/24/2006

L5 intervals + Age effect

これはまたいいポストですね.
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=913346382&sort=d&start=43831
L5インターバルのデュレーションは4分以上で.続く議論も参考になるので是非読んで頂きたい.

これも.
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=913348703&sort=d&start=43856
まぁ,さすがに何年もトレーニングしてれば,いつか頂上にきてしまう.ただ,少なくとも持続的パワーに関しては,降下率は0.5%/年程度.ちなみにCogganは確か今40代であり,かつてUS Cat.1のサイクリストであった.

例えば,あのM山選手がピークであった1997年,栂池アマチュアコースレコードの49'46を出しているが,2006年の記録は51'17であった.毎 度あなじみhttp://www.analyticcycling.com/と手持ちのかきあつめデータから計算すると,1997年の平均出力が 337W,2006年が326Wと出た.約10年で3.4%の降下である.上記Cogganのデータより少し良い.コレぐらいは40代になっても維持でき るようだ.

注:M山選手の装備もまた10年の間に進化している可能性は,当然ある.

Crank Length (contd.)

http://www.cranklength.info/cranks.htmのref4(Determinants of metabolic cost during submaimal cycling; McDaniel J, Durstine JL, Hand GA, Martin JC; J Appl Physiol 93; 823-828; 2002)を読んでみよう.いいリファレンスだと思うので,最後のDiscussionのところだけでもお読み頂くことをお勧めする.

...中身をすっ飛ばして結論を読むと以下のように書いてある:
・クランク長・ケイデンスはメタボリックコスト(*1)に大きな影響が見られなかった.
・パワー出力(*2)・ペダルスピード(同じケイデンスなら,クランクが長いほど速い)がメタボリックコストを決定付けている.
・メタボリックコストに対するパワー出力の大きさ,すなわち「効率」もペダルスピードが速いほど高い.

これらは,同じメタボリックコストであれば,ペダルスピードを速くする,つまりクランク長をなるべく長くとることで効率を向上し,パワー出力を向上できる可能性を示唆している.

前記事に書いた海外のコーチの多くは,経験的な理由から「廻せる範囲でなるべく長いクランクを使う」と言っているようだが,これも科学的に一理あるということになる.うーん,挑戦してみるか?

*1...酸素摂取量から確定的に算出される,人体のエネルギー消費量(だと思う).
*2...SRMとかで測定する実際のパワー出力.メタボリックコストの約25%前後になる.

9/23/2006

Crank length

洋の東西,老若男女を問わずホットなトピックの一つクランク長...当ブログも一つのオピニオンを構築すべく,とりあえずリファレンスを収集した.☆のリンクが大体カバーしていると思う.

http://www.jbvcoaching.com/Cranklength.asp
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=655
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=928
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2006/letters09-19#2
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2006/letters06-05#Larger
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2006/letters08-07#Crank
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2006/letters06-14#Larger
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2005/letters01-03#Crank
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2005/letters02-07#Crank
http://www.cyclingnews.com/fitness/?id=2005/letters02-14#Crank
http://www.myra-simon.com/bike/cranks.html
http://www.nettally.com/palmk/crankset.html
☆ http://www.nettally.com/palmk/Crref.html
☆ http://www.cranklength.info/cranks.htm
http://www.cyclefitcentre.com/pdf%20final%20docs/CRANK%20LENGTH%20ARTICLE%206_final.pdf#search=%22crank%20%22Ron%20Haney%22%22

9/18/2006

ボートの世界

エコカーに続いて進んでるところは進んでますねシリーズ.
http://www2.cc22.ne.jp/~ozwrow/index-tech.html
http://www.setarc.jp/columns/furukawa/


http://www2.cc22.ne.jp/~ozwrow/ozr/r06trra/semi98/jen98j.html
このKurt Jensen氏の考え方は自転車におけるCogganらの考え方に近い.Jensenの考え方も,Cogganのいうところの:
"Testing is training, training is testing."
"The best predictor of performance is performance itself."
...ということに集約される.

またCogganとJensenはレース時間と呼応する代謝系を鍛えることを基本と考えている点も類似している.違うのは,CogganがLT強度とよく相関するFTP(60min TT 平均パワー)を基準強度とするのに対し,Jensenは2000m レース(≒5分程度?)のパワーを基準強度としてトレーニング強度を算出している点だ.この程度の時間だとVo2Maxとより深く相関していると思う.Ric SternのMaximum Aerobic Power(MAP)に近いプロトコルかもしれない.


http://www2.cc22.ne.jp/~ozwrow/ozr/r06trra/ergopace/ergopacej.html
これは2000m レースパワー(実際にはタイムで計測している)を基準としたトレーニング強度の計算表である.レースパワーの85~75%がATトレーニング域(Jensenの言い方では"レベルC")といった設定を行う.「レベルCでの典型的なトレーニングモデルとしては,できるだけ速い速度での12km漕か,あるいは10~20分のリカバリー(回復期間)を挟んでの6km2セットとかが適用できる.」とあるが,上位競技者レベルでは6km=約20分,12km=約40分らしい... どうやら持続時間やセット数などにもCogganと類似性があるようだ.


http://blog.so-net.ne.jp/shibuken/
自転車にも応用の効きそうなお話がたくさん.だが,ボートには自転車のように可変式の変速装置はついていないことは注意が必要だろう.ボートでも「オールの支点位置」を設定することはできるが,やはり競技中にこれは変更できないらしい.自転車で言えばシングルギアのトラック自転車みたいな感じのようだ.自ずと,アスリートに求められる要求事項も変わってくるだろう.例えば以下のようになるだろうか.
・ボート/トラック自転車
... パワーを高めること+幅広いケイデンス?でパワーを発揮できるようにすることが必要.
・ロード自転車
... パワーを高めること+パワーを発揮しやすいケイデンスにギアをあわせることが必要.


Cogganが言うように,ロード自転車において選手は(パワー維持の観点から)最適なケイデンスを自律的に選択するのだとすれば,ロード自転車の選手はパワーが最優先課題になる.そして自由にケイデンスを選択できるギアの幅広さ+細かさが重要となる.

逆にボートやトラック自転車では,低ケイデンスや高ケイデンスのときも高パワーを維持できるように,低ケイデンス練習,ストレングス(フォース)強化,高ケイデンス練習などが比較的重要になると考えられる.


あの言葉が頭に...
"Specificity, Specificity, Specificity..."

9/10/2006

May be you induced a peak, unexpectedly ?

第50回 八方ヶ原HCに参加.昨年度10月30日に続いて2回目となる.

前 回は50'25@248W Avg.と,50分も切れず不甲斐ない結果だったので,今回はリベンジで46~48分台を狙う.毎度おなじみanalyticcycling.comにお いて昨年度のデータ(パワー,タイム,重量)から各所要パラメータを推定,本年度の目標タイムとターゲットパワーは以下の通りと予想した.
  • 46分...279W →絶対無理.
  • 47分...271W →奇跡の270W台.難しい.
  • 48分...264W →出したことがないが,状態によってはいけるかも?
  • 49分...258W →いけそう.
  • 50分...252W →多少ダメでもなんとかいけそう.
さて本番.ここで,現地に来てからギアが平地用の34/12-25(いつもは34/16-27)なのに気づく.さらに,スタートを待つ間になんと前輪がパンク.あわてて荷物車から工具を下ろし修理する.予備でブチルチューブも持っていたが,スタートまで 30分以上あることに気がつき,ゆっくりとパンクしたラテックスチューブを修理して復旧する.しかし,前輪のトレッドはいつのまにか減ってきており,穴か らチューブが顔をのぞかせている.これはヤバい.あとは運に任せるのみだ.


結果
48'28 @ 262W Avg. で3位.


今回は割とよいペーシングだ.もっと攻める余地があったかも知れない.タイヤもなんとか持った.パワーも50分で262Wは上出来.乗鞍の時とは脚の感覚からして大違い.....もしや今頃ピーク??

たしかに乗鞍の後,仕事もあってかなりTSSがダウンしている.実際,この月~金は(本当に)TSS=0だった.そして1週間前の週末から脚が急に軽く なったような記憶がある.乗鞍の前にテーパリング開始した日(=CTLをピークに持ってきた日)から起算して,「脚の軽い日」が来るまで実に3週間を要し たことになる(2週間目が乗鞍当日).

栂池のときは,大会12日前の火曜日に「脚の軽い日」が来ていた.しかしその前に,特にレストを多く設けていた訳ではなかったし,さらにその前にCTLのピークがあった訳ではなかった.

何か,ピークを出すための条件を見落としているらしい.あれこれ仮説を考えて検証を進めている.

8/27/2006

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍2006 (競技編)

結果
1:08:14 (new PB)
平均パワー 238W (昨年度より +5W)

パワーの値は期待はずれに低かった...今回,調整が悪かったような気がする.好ピークにつながるCTL-TSBのパターンや,直前トレーニングのパターンはまだ試行錯誤の段階である.

公式計時上昨年より1分16秒短縮しているが,手元計時によるとこのうち7秒はスタート並び位置の改善によるもの.よって1分7秒が実質的な短縮分となる.毎度おなじみhttp://www.analyticcycling.com/で解析したところ,このタイム短縮を得るためには,全く同じ機材・体重・空気抵抗であれば約4.5Wのパワー向上が必要であり,上記のパワー実測値と近い.

だが実は,今回機材重量+体重が,諸般の事情により約+2kgとなっていたらしい... この場合,約11.2Wのパワー向上が必要である.だが,パワー実測値によればそれほどパワーは向上していない模様であり,何か他の要因によって11.2W-5W=6.2Wを補償したことになる.何かのロス削減により,所要パワーが削減された訳である.

起こりえるロス削減の要因としては,こちらの記事に書いた通り.再現性があるので「推測」が「確信」に変わってきた.


話 は変わって,チャンピオンクラス上位選手で今回「失敗」した選手が何人かいた.無論,その最大の要因は調整失敗であろう.なぜなら,彼らはいずれも傑出 したリザルトを既に残しており,実力(FTP)が低くて負けているとは考え難いから.おそらくピーキングはカンと経験の要素が強く,ベテラン選手(M山選 手,F田選手)が大きく失敗しないのもその辺が関係していそうだ.

一方それら上位選手の中にも,私の目には損としか思えない機材選択をしている選手が目にとまった.なぜ今さら銘柄“T”のチューブラータイヤを使うのだろうか... あのデータを知っていれば,決してそんな選択はしないと思うのだが...

-------------
2006/8/28 公式計時が出たのでちょっと修正


8/20/2006

TSTWKT (その3)

本家からいろいろ公開.尚,正式名称は「Performance Management Chart(PMC)」で落ち着いている.

(1) 基本操作
http://www.cyclingpeakssoftware.com/power411/howtoperformancemanager.asp

(2) 使用例
http://www.cyclingpeakssoftware.com/power411/performancemanager.asp

(3) 背景
http://www.cyclingpeakssoftware.com/power411/performancemanagerscience.asp


(3)を見ると,ATL constantは7か,それ以上でもいいようだ.だが,それ以下は無いという.
CogganがWattageで述べていたように(以下に引用),テーパリング期間は我々が体感する以上に長くとった方がベストパフォーマンスに繋がる可能性が高いからだ.
-------------
The research literature clearly suggests that the time constant for your average racing cyclist is likely to at least as long as the default value, and time-and-again I've seen people set personal bests for power after much longer periods of tapering/reducing training than they'd ever expect to be beneficial.
-------------
(3)は他にも大事な話が書いてあるので,余裕のある方は一読をお勧めする.

また,(2)の使用例をみると,CTLの増加曲線が,まるでFriel本に書いてあるような,綺麗なピリオダイゼーション(Base, Build, Peak)のトレーニング量曲線そのもの.BaseピリオドでもCTLは高くはなっているが,本当に僅か.そしてBuildピリオドで一気にCTLが上昇している.自分も今年はある程度,こういう「山谷」を意識してきたが,もっと山谷が大きくてもいいようだ.

なんにせよ,PMCのお陰でトレーニングの組み立て方が一段と分かりやすく,やりやすくなった.テーパリング以前にしっかりとProgressionをかけてCTLをためなければ,パフォーマンス・ゲインも望めないし,そのためにはある時期,強度×ボリュームを集中させることが必要...



エコカーの世界

この人たちはすごい!!
http://fancycarol.free.fr/tec/tec_top.htm
http://fancycarol.free.fr/tec/test/test_top.htm

自転車業界なんてかわいいもんだったのか.
しかしタイヤをわざわざ削って使う...なんともったいない..
それだけメリットが大ということか.

この資料は「同じパワーでも速い・遅い」のナゾを読み解く一つの鍵になりそう.

8/19/2006

Free N Watts (2)

こちらの記事の続編である.
本日(8/19),8/5と同じ峠・ほぼ同じ装備で試走を行ったところ,さらに12秒ものタイム短縮に成功した.しかも平均パワーは276W(8/5は279W)とさらに低かった.

毎 度おなじみhttp://www.analyticcycling.comで計算したところ,仮に全く同じ平均パワーを発揮できたとして,この長さ・勾 配の峠で12秒のタイムを短縮するためには,1) Weight of Rider and Bike(人間・バイク・装備品の合計)で約2kgの軽量化を図る,2) Frontal Areaを約30%減らす,3) Coefficient of Rolling Resistanceを35%程減らす,のいずれかを行えばよいことが分かった.
逆に上記3条件が同じ場合,約7Wの平均パワー向上が必要となる.

さて,答えはどれであろうか.
(1) 2週間で2kgもの減量に成功した.
(2) フォーム改造によって2週間の間に30%も射影面積が小さくなった.
(3) 2週間の間に路面改良が行われて路面が35%もスムーズになった.
(4) その他(装備,気候,風...?).

正直,筆者も上のような状況証拠から一つの推測を得ているに過ぎないので,ここには書かない.

※1 無論,Powertapの計測誤差の可能性もある.Powertapのaccuracyは公称+-1.5%であるから,280W付近では8W程度誤差が混 入してもおかしくない.ただし,(筆者を含め多くのPowertapユーザなら知っているように)実際にそんなに大きな測定誤差を生じる可能性は低い.温 度変化が少ない場合はなおさら.

※2 「ほぼ同じ装備」というのは,先日の富士山で破けたフロントチューブを取り換えただけである.

8/16/2006

CPS WKO+ 2.1 (含TSTWKT(本物))


昨夜遅く突如リリースされたので,早速インストール.

推測されていたアルゴリズムの通り,ATL,CTLのDecay Rateは調整できるようになっていた.デフォルトはそれぞれ7day, 42dayであったが,個人に合わせて調整が必要なように思われる.デフォルト値では,筆者のデータには今ひとつフィットしていない気がする.

他に,Average PowerやNormarized Power等のベスト記録N個を過去データの任意の期間から抽出できるようになった点が結構便利.上図の黒線は,まさに表示している期間の20NPベスト10個を抽出したものである.

8/15/2006

第2回ヒトリ山岳(富士山三本締め編)

諸般の事情で,またもや大規模山岳サイクリングプロジェクトを単独実施することとなった.今回のターゲットは富士山の周りを一周.それもスカイライン,アザミライン,スバルラインすべてのヒルクライムを含み,それらすべてを1日で制覇するというものである.スタート/ゴールは富士急河口湖駅で,左回りのコースとなる.

...もうなんというか,体に不安のある人はやらないほうがよい,ということは分かった.以下とりあえず,通過時刻と証拠写真だけ置いておく.
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7:00 河口湖駅付近のコンビニ発.
バナナ3本,山賊おにぎり,パニーニを補給.

10:30 スカイライン五合目通過
料金所から5合目まで約50分.
ここで偶然にも,「S石峠落車事件」のときお世話になったHさん夫妻に遭遇する.
このトータル1h45minの登坂だけで1400kJを消費している.
売店にあったカステラ1袋(¥400)を補給.


13:30 あざみライン五合目通過
スタートの曲がり道のところから五合目まで約65分.
登る前に小さなアンパンとおにぎりを補給.
登った後に大入りアンパンと五平モチを補給.
下山中にフロントタイヤパンク.
修理中,リム(アルミ)がかなり熱を持っていることに驚く.

17:58 スバルライン五合目通過
料金所から5合目まで約89分.
登坂中,視界がかすみ,意識が軽く薄らぐ感覚あり.
危険を感じて一旦とまり,饅頭を補給.
登坂後,メロンパンを補給.

19:00頃 河口湖駅帰着.
おにぎり3個,カップめん,サンドイッチを補給.

8/11/2006

TSTWKTを早速試す

今,エイビッドなサイクリストのホットな話題,The Performance Manager. 通称TSTWKT (the shit that will kill them) = power-based impulse-response performance model.

こ れまで闇につつまれていたピーキングをパワーベースのトレーニング記録を基に定量化しようという試み.他競技でもホットなトピックの一つら しいが,陸上や水泳では心拍・時間が頼りなのに対し,サイクリング(やローイング)ではパワーというダイレクトな記録が取得できるため,いち早く実用化に こぎつけた模様.科学的な根拠については上記TSTWKTのリンクや,CFのこのスレッド参照のこと.要は,長期的蓄積疲労(CTL)と短期的蓄積疲労(ATL)のバランス(TSB)が最大化するポイントでパフォーマンスのピークが現れるという考え方を数値化したもの.

CPS次期リリースに搭載されるらしいので待っていたが,待ちきれないアスリート・ハッカーのみなさんのおかげですっかりアルゴリズムの推測がすすみ,kmavmさん作のxlsが公開された.ありがたく試用させて頂きます.

以下のグラフでは,過去約1年間について,TSS/day,CTL,ATL,TSBを計算している.



TSBの値の高い日がピーク(高記録が出る可能性が高い日)である.当たり前の話だが,1) “ある期間”“ある程度”CTLを蓄積した後,2) “ある期間”テーパリングした後ピークがくる.

だが,それらの期間・程度がこれまで不確かだったので,“ターゲットレース前は2週間,ワーク時間を50%に”といった経験則が頼りだった.

上記のTSBグラフを見ると,八ヶ岳,赤城,栂池などのパフォーマンスと,なんとなく相関が認められる.

ホビーレーサーごとき,数あるレースのどこかに当たればいいだけかもしれないが,それでもターゲットレースにピークを持ってくるとか,やってみたいのが心情である.

(つづく)

8/08/2006

みなさんそうお感じでしたか.

やはり夏は埼玉県に限らず暑いらしい.

Lower power in hot conditions

Heat and FTP.



Exercise in the heat: strategies to minimize the adverse effects on performance.
↑これによると:
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Exercise in the heat is usually associated with reduced performance; both dehydration and hyperthermia adversely affect mental and physical performance. For athletes from temperate climates, the negative effects of heat had humidity can be attenuated by a period of acclimatization. This requires up to 10-14 days. Endurance-trained individuals already show some of the adaptations that accompany acclimatization, but further adaptation occurs with training in the heat. Prior dehydration has a negative effect even on exercise of short duration where sweat losses are small. The athlete must begin exercise fully hydrated and regular ingestion of fluids is beneficial where the exercise duration exceeds 40 min. Dilute carbohydrate-electrolyte (sodium) drinks are best for fluid replacement and also supply some substrate for the exercising muscles. Post-exercise rehydration requires electrolyte as well as volume replacement. In extreme conditions, neither acclimatization nor fluid replacement will allow hard exercise to be performed without some risk of heat illness.
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・暑さは心理的および身体的パフォーマンスに悪影響する.
・暑さになれるのには10~14日かかる.
・ウォーターローディングしろ.
・スポーツドリンクを飲め.

暑さ対策は暑さを我慢して走ることから.

8/06/2006

枝折峠ヒルクライム

2回目の参加となる本大会.昨年は30歳以下クラスで3位,0:41:31という公式記録.残念ながら昨年度はパワーメータの記録がなく,今年ようやくデータが取れた.

平均パワー258W,平均時速19.4kph,距離13.3km

結果としては31~40歳クラスで3位.激戦のクラスだが,あえなく昨年と同じ順位.タイムもさして向上していない.まあ多量の米ももらったし,ヨシとしよう.

考察
さて,データ分析を行う.
今回は割とパワーがたれないようにペーシングをかけることができた.ただ,スパイクはまだ結構でてしまっている.本コースは最初フラットセクション (0~3.05km地点)があり,ここでは平均211Wで5分42秒.その後本来のヒルクライムセクション(~13.3km地点)となり,ここは平均 266Wで35分17秒であった.ここで昨年のデータを参照すると,フラットセクションが5分38秒,ヒルクライムセクション35分50秒.細かくみる と,ヒルクライムセクションのラスト5kmのタイムが昨年より30秒ほど速い.今年は昨年よりタレなかった,ということだ.

尚,つがいけのように大きなタイム向上が出ていない原因は,主に テーパーリング度合いの違いではないかと考えている.昨年この時期のパワーデータが無いので曖昧になるが,本レース前1週間のワークアウト内容を見ると, 今年は320分以上のL4ワークを行っているのに対し,昨年は(おそらく)L4で120分程度,あとは若干のLSDとL5ワークしか行っていない(L5 ワーク量についていえば,今年も同程度やっている).それほどプライオリティの高いレースにテーパリングしてももったいないので,これでよしとしよう.

※上記はすべて手元計時の記録.このレースは手元計時と公式計時が結構違ってしまうようなので,多少の誤差はお許し頂きたい.

8/05/2006

Free N watts

下図1,2はほぼ同じ平均パワーで,松郷峠(埼玉県,いわゆる「横松郷」ルート)のラスト2.776kmを走ったときのタイム等を記録したものである.
測定距離に1m程の差がある点,また試走日時が違い,風向,空気密度等の条件に多少誤差がある点は差し引いて見て頂きたい.だが,本コースは平均勾配 6.87%ときつく,平均時速は20km/hに届かない.また,周りを林に囲まれており風の影響も少ない.このためヒルクライム用の機材の影響を見るには 悪くないコースである.

Fig.1 2006/8/5の試走 (Avg. 279W, 2.776km, Time 9:25:74, PT SL使用)

Fig.2 2006/2/4の試走 (Avg. 282W, 2.777km, Time 9:39:60, PT Pro使用)

8/5と2/4では,前者の方が全備重量がおそらく500g~800g程度軽い(体重,衣類,パーツなど).この影響が5秒程度あるとしても,14秒も前 者が速いというのはどういうことか? パワー的には,後者の方が若干出ている(*1)ので,後者が少しだけ速いか,トントンでもおかしくないだろう.

そう,「何か」を変えたのだ.10分以下のコースで10秒も違えば,60分のTTでは1分程度のタイム短縮に繋がる.まあ,本ブログの過去記事も見ている方には何を変えたのかバレバレであろうが...

*1 筆者所有のPT SLは,PT Proに比べて0.5~1.5%程度トルク,パワー値が小さく出る.この影響を考慮すると,279Wと282Wは誤差範囲の違いとみなせる.

8/03/2006

the inability to perform repeated efforts at the power corresponding to 100% of VO2max could also be due...

これもだな.
http://www.cyclingforums.com/showpost.php?p=2810945&postcount=5


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Some semi-random thoughts:

1) the plateau or quasi-plateau in power at the end of a pursuit-like 5 min effort provides a very good estimate of power at VO2max. However, it could overestimate it slightly if you held back a bit early on and spread your AWC out over the entire duration, versus going flat-out as in, e.g., a race, and then hanging on by the skin of your teeth to the very end.

2) the inability to perform repeated efforts at the power corresponding to 100% of VO2max could also be due:

A) VO2 drift, i.e., your VO2 is truly maximal but your power is down due to reduced efficiency, or

B) inadequate fatigue resistance of your muscles, thus preventing you from repeatedly driving your VO2 to maximum. (This is why 1) I think Lydiard had it right, and 2) why I don't favor the training schema advocated by Dave Morris, in which VO2max training is performed before training of LT.)

Regardless of any of the above, I wouldn't worry too much about the difference between 385 W and 360-365 W. The latter is certainly high enough to provide a potent stimulus for increasing your VO2max, so if that's all you can do, so be it. The frequency with which you do such workouts and your motivation when doing them likely has a lot more to do with how much benefit you obtain than the precise intensity at which you do such intervals.
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このスレッドのOPのFTPは325Wらしいから,385W≒118%FTP,365W≒112%FTPになる.
どちらでもゾーン内だからOK,それよりトータルボリュームに気を使えと.

time for resynthesis of the "alactacid" and "lactacid" component

これもメモ.

http://www.cyclingforums.com/showpost.php?p=2638424&postcount=48

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The half-life (or time constant) for resynthesis of the "alactacid" component of anaerobic capacity is well-known: it is equal to the half-life (or time constant) for changes in aerobic ATP synthesis by the mitochondria.*
The difficult part is mathematically describing the recovery of the (much larger) "lactacid" component, which in some cases may take hours to fully recover (just take a look at how even elite pursuiters tend to slow down between morning and evening rounds, and you'll understand why I say that).

*This is, of course, the "secret" to microintervals: by keeping the work and recovery periods very short relative the half-life for changes in high energy phosphate levels, our muscles behave as if the exercise were continuous in nature...which, from an energetic perspective, it essentially is. However, stretch those 15 s on/off intervals to, say, 30 s on/off and the situation changes quite dramatically...
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Is there an optimal training intensity for enhancing the maximal oxygen uptake of distance runners?

これもメモしておこう.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=16464121&query_hl=3&itool=pubmed_DocSum

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The maximal oxygen uptake (V-dotO(2max)) is considered an important physiological determinant of middle- and long-distance running performance. Little information exists in the scientific literature relating to the most effective training intensity for the enhancement of V-dotO(2max) in well trained distance runners. Training intensities of 40-50% V-dotO(2max) can increase V-dotO(2max) substantially in untrained individuals. The minimum training intensity that elicits the enhancement of V-dotO(2max) is highly dependent on the initial V-dotO(2max), however, and well trained distance runners probably need to train at relative high percentages of V-dotO(2max) to elicit further increments. Some authors have suggested that training at 70-80% V-dotO(2max) is optimal. Many studies have investigated the maximum amount of time runners can maintain 95-100% V-dotO(2max) with the assertion that this intensity is optimal in enhancing V-dotO(2max). Presently, there have been no well controlled training studies to support this premise. Myocardial morphological changes that increase maximal stroke volume, increased capillarisation of skeletal muscle, increased myoglobin concentration, and increased oxidative capacity of type II skeletal muscle fibres are adaptations associated with the enhancement of V-dotO(2max).
The strength of stimuli that elicit adaptation is exercise intensity dependent up to V-dotO(2max), indicating that training at or near V-dotO(2max) may be the most effective intensity to enhance V-dotO(2max) in well trained distance runners.
Lower training intensities may induce similar adaptation because the physiological stress can be imposed for longer periods. This is probably only true for moderately trained runners, however, because all cardiorespiratory adaptations elicited by submaximal training have probably already been elicited in distance runners competing at a relatively high level.Well trained distance runners have been reported to reach a plateau in V-dotO(2max) enhancement; however, many studies have demonstrated that the V-dotO(2max) of well trained runners can be enhanced when training protocols known to elicit 95-100% V-dotO(2max) are included in their training programmes.
This supports the premise that high-intensity training may be effective or even necessary for well trained distance runners to enhance V-dotO(2max). However, the efficacy of optimised protocols for enhancing V-dotO(2max) needs to be established with well controlled studies in which they are compared with protocols involving other training intensities typically used by distance runners to enhance V-dotO(2max).
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7/28/2006

Alex's CdA and CRR calculating Excel worksheet

http://www.physfarm.com/CdA%20Test-FGF~v2.xls

あとはいい場所を見つけて走るだけ!

Re: Pursuit preparation

Re: Pursuit preparation
覚えとして貼っておこう.

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acoggan
Registered User

Default Re: Pursuit preparation

Quote:
Originally Posted by Alex Simmons
What time periods are we using for the monod model? I have 1, 3, 5 & 20 min MMPs in there. I find this choice can vary AWC calcs considerably.
My recommendation is that people use data from tests >~3 min but <~30 min in duration. Here's why: As you know, the critical power paradigm assumes a linear relationship between work and time, with the slope of this relationship representing one's critical power, i.e., a power that "...can be maintained for a very long time w/o fatiguing." In fact, critical power can, in theory, be maintained forever. Of course, no exercise intensity can be maintained forever (indeed, as I like to joke even resting metabolic rate can only be maintained for one's lifetime), which immediately reveals one of the limitations of this approach: the data don't really conform to a perfectly linear relationship, but instead will fall progressively further and further below the line-of-best-fit as the duration is extended. However, as long as you limit yourself to tests <~30 min in duration, you'll get a good fit to the data, and the calculated critical power will be highly reproducible (anaerobic work capacity somewhat less so). OTOH, if you include points beyond that time, you will tend to obtain a lower estimate of your critical power, and will tend to overestimate your anaerobic work capacity.

That explains the choice of the upper limit...what about at the short end of things? Again, the selection of 3 min is based on trying to minimize another limitation of the model, albeit one that isn't so intuitively obvious. Specifically, some inherent assumptions of the critical power paradigm are that 1) all of one's anaerobic work capacity will be fully expended during a particular effort (test), and 2) aerobic energy production is fully "online" from the very instant that exercise begins. In fact, neither of this is really true: it generally takes 1.5+ min to fully utilize all of your anaerobic work capacity, and VO2 won't reach a true steady-state until at least that long, and in fact usually longer. The consequence of these violations of the assumptions of the critical power model is that you can't do as much work in only a few minutes as the model predicts, such that those points, too, will tend to fall below the regression line. If you choose to include them anyway, you will obtain a higher estimate of your critical power, and a lower estimate of your anaerobic work capacity.

(BTW, after arriving at the conclusion that tests of the above duration were really best - despite the fact that tests of 1-10 min are routinely used in scientific studies - I subsequently came across a published paper that presented the same recommendation. Unfortunately, the literature on critical power is quite large, so I can't find the latter paper for you at the moment!)

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7/23/2006

Human Power Meter (HPM)

なにはともあれFloyd Landis,TDF優勝おめでとう! 特に17ステージ,powermeter装着車両がTDFの山岳ステージを駆け抜ける映像がTVで流れてくるなんて思っていなかった.
#しかもSRMじゃなくて,Powertap!!

ところが最後の正念場,19ステージITT,噂のZIPP 999 Disk w/PowerTapを使ってなかった... 何故? よく海外のフォーラムとかで,「パワーも心拍数もレース中には見ない」「LCDにテープをはって,後で解析するだけ」といった意見を見る.では,ペーシングはどうするのか.やはりプロだから,カンで片付くのか.ためしにやってみよう.

テスト場所:定峰峠(埼玉県,距離約5km)
テスト方法:同じ峠で,日を変えて2回の試走を行った.バイクは2回とも同じで,Powertapでパワー,スピード,ケイデンスを記録した.試走1回目はメータをのパワー値を見ながらペーシングを行い,試走2回目はメータがMax値のみ表示するように設定して,ペーシングに使えないようにした.
備考:2回とも弱雨路面ウェット,体感できる風なし.
タイヤ銘柄,タイヤ空気圧は2回とも同じ.
2回目は車体を300gくらい軽量化した.
2回目は後輪のチューブにラテックスを使った.


結果:

試走1 ⇒ 平均266W,タイム14:15


試走2 ⇒ 平均266W,タイム14:07

考察:
試走1と試走2では,全く同じ平均出力となった.ペースの山谷の少なさという観点では,むしろ試走2の方が良いように見える.ただ,筆者はこのコースを何度も走っているので,ある程度体がペースを覚えているのかもしれない.また,このコースは5kmしかなく,ペーシングの良し悪しが平均出力に影響し難い可能性もある.尚,2回の試走の両方とも,最後はもがいたつもりなので,手加減したということはない.同じ平均出力でも,タイムは,装備の違いから僅かに(1%程度)向上している.

結論:
人間は計器なしでも自律的にペーシングを行うことが可能な程度の,Human Power Meter (HPM)機構をもっており,そしてそれはパワーを見ながらのトレーニングによって強化できる可能性がある.だが所詮「カン」なので,コンディショニングその他によって影響される可能性は否定できない(e.g., テーパリング後,脚が妙にフレッシュなときは楽にパワーを出せてしまう)ため,その用途は限られる.

7/20/2006

参考文献

ありがとう,Coggan et.al.!!
http://www.endurancesportscience.com/files06/

Prof Peter Hespelのスライドには,Boonen,Nijs,Mercadoのスプリント時のペダリングデータが入っている.それぞれ,異なるケイデンスでピークパワーが出ていることがわかる.
(p.14)ペダリング左右差を直した例も出ているが,「結果として何の役に立った」が抜けている.結局,ペダリング左右差改善の結果パワーは上がったのか? 実際,円グラフのスケールは,「使用後」の方が小さくなっているようだが...
(p.20) Boonenらしきデータの経年変化が出ていて,2003年→2005年→2006年と,ピークパワーのケイデンスが上がってきている.確かにピークパ ワーのケイデンスを変化させられるのは分かったが,これも何の役に立ったのか分からない.計測時期の問題もあるのだろうが,ピークパワー自体は 2005/12に最高となっているのは,何を意味するのか. 

Dr James Martinのスライド一つ目.
最初の方,Max Powerで比較されてもなあ...長さの刻みも大きすぎるし,「慣れ」の影響もわからない..
最後の方ではペダリングテクニックでmetablic efficiencyが改善できると言っているが,その度合いは? 結局,パワーの改善にどれだけ影響するの?

Dr James Martinのスライド二つ目.
屋外(field test)でも風洞(tunnel test)に比して悪くないCdAを算出できるらしい.
後ろの方に1000mTTにおける空気抵抗の重要性を示す定量データがある.

7/19/2006

空力・ポジション絡み2題

(1) BB周りに前転すれば速くなる?
http://www.biketechreview.com/performance/faster.htm
http://www.biketechreview.com/performance/position_table.htm
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=209
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=248
ヒップアングルを維持(BB周りに前転)すればパワーは維持できるかもしれないが,後ろに乗って前傾(サブリスキー型)した方が空力的には有利.前傾してもパワーが出る人と出なくなる人がいるから,一概には言えず,パワー/CdAレシオが重要,らしい.

(2) Landisポジションは世界的に議論の的
SlowtwitchにZIPPの人がこんなポストをしていた("him"=Landis):
http://forum.slowtwitch.com/gforum.cgi?post=885993
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I was in the tunnel with him in March and all I can say is that I'm not exactly sure why, but it definitely does work.We tried the same position on Santiago Botero as well as Miguel Perdiguero and it was terrible for both of them, but with Floyd it works quite well. I think that Floyd has a different body shape than a guy like Zabriskie and he also has very large hands, but overall I think your theory on the airflow going around instead of under the body is probably pretty accurate.
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風洞実験で,なぜかLandisにだけ効果があったらしい.UCIのスーパーマンポジション規制絡みもあるのかな?

Ceramic bearings, are they worth trying?

主張・データ:
http://www.fullspeedahead.com/fly.aspx?layout=news&cid=199
http://www.rouesartisanales.com/6-categorie-94458.html#english

議論:
http://biketechreview.com/phpBB2/viewtopic.php?t=629
http://www.cyclingforums.com/t352532.html
http://www.cyclingforums.com/showthread.php?t=295362
http://weightweenies.starbike.com/phpBB2/viewtopic.php?t=14554

販売:
http://www.makemefast.com/
http://www.ceramicspeed.com/
http://www.fabin.dk/preview2.asp?idn=CeramicSpeed
http://fairwheelbikes.com/shop/index.php?main_page=index&cPath=28&zenid=3b9865cbade13dea2c74c4218fa11d5a
http://www.competitivecyclist.com/za/CCY?PAGE=BUY_PRODUCT_STANDARD&amp;amp;PRODUCT.ID=2858&CATEGORY.ID=722&MODE=
http://www.bocabearings.com/main1.aspx?p=docs&id=18

考察:
0.1W 単位の差異を,精度・再現性を保てるように測定するのは,どうやったのだろう? SRM Scienceでも誤差範囲のような... まぁハブよりも回転数の高いプーリーに使えば,何かメリットあるのかな? よくわからない.もし識者の方が見ておられましたら,コメント頂ければ幸甚です.

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(2006/7/28 追加)
http://www.fixedgearfever.com/modules.php?name=Forums&file=viewtopic&t=1887&highlight=bearings
やっぱり?

7/07/2006

PowerReport....??


なんだこれは...
でもコンピュータ部は一番格好良いし小さいかな?

http://www.bumm.de/index-e.html?docu/powerreport-e.htm

6/25/2006

効率の良いトレーニングとは何か(Specificity and Progression)

■ トレーニングは細かいメニューより全体像こそが重要,とコーチングの教科書にはよく書いてある.そして全体像を考える手がかりの基本は, Specificity(特化)・Progression(漸進性)・Overcompensation(超回復)といったトレーニングの原則である.以 下,真剣なアスリート,コーチなら当たり前の話ばかりになるだろうが,一つのケー ススタディとして,トレーニング負荷に対し筆者のヒルクライムTT能力が如何に変化したかを実測データを基に述べ,それがトレーニング原則 (Specificity, Progression)の観点から自然なものであったことを述べる.またトレーニングの原則と,アスリートの時間的・体力的制約とを考慮した,トレーニ ング時間構成の検討を行う.

Fig. 1

Table 1

■ 図1は,筆者が昨年6月(PowerTapを購入)してから,現在までのトレーニング時間を,強度レベル (L2~L6)毎に,3週間単位で集計したもの である.尚,強度レベルの定義はCoggan's Power Levelsに従っており,筆者の場合は表1のようになる.尚,L2の下にL1という強度もあるが,これはアクティブリカバリーレベルなので,トレーニン グ時間には加算していない.実際にはL1の時間も結構ある.

※グラフ上に3箇所の“谷”(2005/7~8,2005/9, 2005/11~12)があるのは,故障等の理由でPowerTapによる記録を行っていなかったためである.
ま た 図1の赤点線は,それぞれの期間,ある20分間に発揮できたNormalized Power(NP)の最高記録(20MNP)を示している.筆者の場合20MNPは,Functional Threshold Power(FTP,1時間持続可能な平均最大パワー)のおよそ92%となるため,1時間前後のヒルクライムTTの成績を予測する良い指標となる.


図1より,20MNPの向上がもっとも大きい期間(2005/12~2006/3)は,L4レベルのトレーニングが段階的に増やされた時期に呼応してい る
尚,表1から分かるように,L4とは即ちFTP付近の強度に他ならない.Specificityの原則から考えて,上記はごく自然な結果と考えられる.

Fig. 2

■ 次に,図2(緑線)は同じ期間のTraining Stress Score(TSS)値の変化を示している.TSS値というのは,強度(パワー)と時間の双方を加味したトレーニング負荷量であり,実際にどれくらい「頑張っ た」のか定量化できる.
TSS の提唱者Andy Cogganは,適切なトレーニング効果を得るためには平均して100~150TSS/day(2100~3150TSS/3weeks)が必要と言っていた(うろ覚え).
※この辺を詳しく参照したい方は,Wattageの"TSS Scores"というスレッドをご覧頂きたい.

筆 者の場合,平均90~110TSS/day(1890~2310TSS/3weeks)の範囲に落ち着いてしまう.これは1) 回復力,2)睡眠時間・仕事時間といった制約から,ムリの無い値がある程度決まってくるためと考えられる.経験上,130TSS/day (2730TSS/3weeks)以上は,私には維持困難ではないかと思う.


Fig. 3

■ さてTSS の上限が分かってくると,次はTSSという「予算」をいかに振り分ければ,所望のパフォーマンスという「効果」をより多く得られるかという「費用対効果」 を 検討することが望ましい.また同じTSSでも,一般人には(もちろん,プロレーサーにとっても多少制約が緩いだけで)時間制約が存在するから,
「時間対効果」も考えねばならない.強度を上げれば短時間に多くのストレスを印加することができる訳だが,狙った以上に強度をあげてしまうと,狙った代謝系以外へのストレスばかり増え,所望の効果を得ることなくTSSという予算を浪費してしまう.

図3は,図1の縦軸を 時間からTSSに変更したものである.ここまでお読み頂いた読者(長文恐縮)には自明であろうが,まずSpecifityの原則からL4に最大のTSSを振り分けることは,「費用対効果」の観点から有効らしい.

だがここでもう一点注意して頂きたい.
著しい 向上があったらしい2005/10~2006/3にかけては,段階的にL4のTSSが上昇している.そしてその後も結構なTSSがL4に充てられているのに,それほど20MNP向上が見られなくなっている.こ のことは,Progressionの原則に沿っていると考えられる. つまり能力向上のためには,段々と当該強度における TSS(強度・ボリューム・頻度)を上昇させる必要があるということだ.“実り多き”2005/10~2006/3にかけては,それ以前になかった高いストレスがL4の代謝系へと 印加され,20MNPが向上したと見られる.その後もL4に注力してはいるが,以前と同じかそれ以下のストレスしかかかっておらず,大きな向上に結びつかなかったと考えられる.

■Andy Cogganによれば(よらなくても?),L2(別名:LSD)・L3(別名:テンポ)からL4までは,エネルギー代謝系に対するトレーニング効果は一緒 だということである.昔の記事に書いたかもしれないが,要は動員される代謝系が一緒なので,効果も同じということである.この説が正しいならば,L2でも L3でもL4でもいいから,L2~L4の合計TSSが増えるように兎に角走れ!!という結論になる.ただ,それらの「時間対効果」には明確な差異がある.

参考として,図4に2005/1~2006/6までの筆者のトレーニング時間と走行距離を公開する.記録のつけ方がややマチマチだが,2005/8頃まで LSD(+Tempo少々)を比較的多くこなしていたため,トレーニング時間だけみればこの頃の方がやや多い. ちなみにそのさらに昔,記録さえつけていなかった時期,平均的に15~20hour/weekほど乗っていた時期もあったが,(恥ずかしながら)たいして 速くなっていなかっ た.
おそらく当時はSpecificityかProgression,あるいはその両方を満たしていなかったので あろう.表1に示すように,同じ1時間でも,LSD(L2)はL4の約半分,Tempo(L3)は2/3のストレスしか生じないため, 2005/10~2006/3の1.5~2倍乗っていなければ,同様程度なトレーニング効果は期待できないと推測されるが,そこまで多くは乗っていなかっ たらしい.

Fig.4

FTP が重要となる多くのアスリートにとって,L2 やL3によるベーストレーニングの重要性は昔から神話的に叫ばれている.また,L2やL3は負荷が低く障害を起こし難いというメリットもある.ただしある 程度経験を積んでしまった後は,上記の筆者の例に見られるように,
かなり膨大な時間を「投資」しない限り,20MNP(ひいてはFTP)の向上に至るようなストレス量(TSS)のProgressionを得られなくなるのではないか.このため,L4トレーニングの導入による「時間対効果」の見直しは,FTP向上の行き詰まり打破に有効と考えられる.

ま た,「時間対効果」の高いL4トレーニングでも,十分なトレーニング時間(頻度・回数)を割かない限りやがてストレス量のProgressionが失わ れ,「費用対効果」が頭打ちとなるだろう.すると経験を積んだアスリートに対して「ブロックトレーニング」を導入し「集中投資」を行うコーチが多いのも自 然に思える.

■ 無論,「費用対効果」や「時間対効果」には個人差もあろう.またVO2MaxとLT(FTP)の関係をご存知の読者なら,必ずしもL4トレーニング=LT やFTPの向上ではないこともよくご存知と思う.ただ,それらの個人傾向を検出するツールとして,少なくとも筆者にとっては,上記のようにパワーメータは 有効であった.

■備考
(1) Overcompensationは,またデータを集めてから書こうと思います.
(2) 図1,図3のようなトレーニング時間,TSSの遷移を出力する機能は,筆者も愛用するCycling Peaks Software(CPS)には無く,今回はデータ集計にてこずりました.


6/11/2006

つがいけサイクル2006

昨 年度の記録を4分半程更新した.残念ながら目標の1hはあと16秒のところで切れなかった.しかしまぁ,またしても恥ずかしいペーシングである.ペーシン グがもっとよければ,と悔やまれる.ちなみに本大会のレコードは実業団48分台,一般49分台.まぁ,上を見れば切がない.

筆者は本大会に本年度を含め過去4回参加しており,結果は以下の通りである:
- 2003年 1:05:05
- 2004年 (パンクでDNF)
- 2005年 1:04:45
- 2006年 1:00:16
練習のボリューム自体は2004年~2005年前半頃が最大であったが,その甲斐なく2003→2005年までのタイム削減は僅か0.5%であった.ところが,2005→2006年のタイム削減は実に7%に及んだ.この原因として以下が考えられる.

(1) パワーメータの導入.
これはちょうど2005年の6月であり,導入から1年になる.

(2) トレーニング内容の見直し.
Friel本を読み,海外のBBS等をくまなくチェックしてセルフコーチングの知識を獲得し,効率化を図った.

(2)はまだon-goingであり,まだまだ工夫と研究の余地が大きい.引き続きノウハウ蓄積を図っていきたいところである.

昨年度,自分なりに非常に厳しいトレーニングを積み挑んだ本大会で記録が出ず,一度はもう「壁」に当たったのか..と考えた.だが正確な自己アセスメントを基にトレーニングプランを見直してからでないと,「壁」に当たったのかどうかは見極められない,ということのようだ.

早くも来年の本大会が楽しみになってしまった.

6/04/2006

Drivetrain friction... isn't it negligible?

チェーンリング側(SRMなど)で測定した出力とハブ側(PTなど)で測定した出力には,駆動ロスのため一般に数Wの差が生じる.ロスの大きさはどのような要因によってきまるのか.何らかの工夫で有意に削減できるのか.

(1) 同じチェーンラインなら,カセット側歯数が大きいほどロスが少なく高効率だった(効率差2~3%程度).チェーンライン,チェーンルブ(ウエット,ドライ含む)による有意な効率差は生じなかった.
http://www.ihpva.org/HParchive/PDF/hp50-2000.pdf
※この記事,共著にシマノも入っている.

(2) (1)のカセット側歯数大小による効率差に比して,チェーンテンションによる効率差の方がより大きい.さらに,チェーンテンションの高い領域では,カセット歯数大小による効率の違いは無視できるほど小さくなる.
http://www.ihpva.org/HParchive/PDF/hp51-2001.pdf

直感的にはチェーンラインやルブは結構影響しそうな気がしていたが,実はそうでもないらしい.
より大きなファクターはチェーンテンションで,これは小ギア同士の組み合わせの方が高くなる.
どうもファクターを分離して議論できていないような気がするが...

尚トラック競技者の間では,小さなチェーンリングだとトップスピードが伸びずらい,と言われているらしく,上記チェーンテンションの理論と一致しない.チェーンテンションの他に,チェーンスピードでも関係するのかな?

Human Power誌には他にも面白い記事がありそう.
http://www.ihpva.org/HParchive/PDF/

5/29/2006

On the next, ...

今期最初のターゲットレースもまだなのに,早くもその後のことで
頭が一杯である.その材料をいくつか.パワーメータはフィード
バックがダイレクトであり,トレーニングプランのplan-do-check-
act(PDCA)を考えたくなってしまうのだ.持続的に向上するSelf
Coaching Athleteへの道は長い.

Specificity and Power Band (by Andrew Coggan)
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=903316817

Rate of progression (by Andrew Coggan)
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=904457191
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=904457350
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=904458467

Multi-tier v.s. periodization
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=905058020

EFFECTS OF HIGH-INTENSITY INTERVAL TRAINING ON THE
ACCUMULATED OXYGEN DEFICIT OF ENDURANCE-TRAINED RUNNERS
http://www.asep.org/jeponline/issue/Doc/Feb2004/BickhamV2.doc

Coggan had used this "standard progression":
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=909845574
but discarded it:
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=910150011
http://lists.topica.com/lists/wattage/read/message.html?mid=909054847

5/23/2006

準備(タイヤ篇)

今日はタイヤを貼った.210g/本.転がり抵抗が低い銘柄"V"のタイヤ"S".
http://ddata.over-blog.com/xxxyyy/0/02/72/10/tubular-specs.html
3本ローラーがあれば転がり抵抗を確認できるらしい.来年は買うか.

某通販ではCorsaは畳んで送ってくるくせに,この銘柄"V"はリム用の巨大な箱に入れて送ってくる.何だか特別品を頼んだようで嬉しい.宅配ボックスに入らなくて不便だが.

尚,TrackGlueはBTRでも好結果が出ていなかったので,今回は不採用とした.

5/21/2006

ヒトリ山岳


このところどうも調子がよくない気がする.土曜日もいつもの山を走ってきたがパワーがあまりでず.こんなときは思い切って気分転換である.久々に仕事も落ち着いたので,今週は家で仕事しなくてもよさそうだし.

といっても,いつもとは違うところへ行こうというだけだが.富士山か,行った事の無い赤城・榛名? 朝になって赤城・榛名に決めた.もちろん,一人だ.一人で走ることは,自分にとって原点だからだ.ただ走るためには一人が最高なのだ.

輪行で前橋へ.道がよく分からないが,とにかく赤城旧道の方へ.いわゆるアタック21コースである.気分転換モードの場合,気楽にタイムアタックして,頂上で旨いもの(e.g., おやき,饅頭系統)を食すのがセオリーである.

なんとかスタート地点を発見して,Go!
..... あとはグラフの通り. 気分転(以下略)なのでみっともないペーシングである.今日はいつもより多めにダンシングしております,的走りで,ゴール前ではちょっとクラクラきた.肺 にも来ている感じがある.なんだかいつのまにか追い込んでいるような気が.そしてゴールらしき「Fujimi...」の標識発見! なんとなくゴール!
さあタイムは!
 51:48
であった.ここはレース記録等ないので,速いのか遅いのかよくわからない.まあ,先日のジル選手の記録より4,5分くらい速いようなのでよしとしよう.

ああつかれた.予定通り大沼の売店へ.ここのおやきは秩父などでよくうっている大判焼風のものとは少し違い,サクサクした揚げたてドーナツ風の食感であり旨い.中身はアンコが欲しかったが.赤城の眺めも,空気もいい.気分(以下略)はこれでないとね.

その後,走り足りないので榛名へ向かう.赤城で疲れたので,あとはサイクリングモード.朝googleで見つけた箕郷→松の沢峠コースへ.気(以下略)につきL3あたりで適当に登る.
さらにダンシング多めでなんとか峠に到達.ここで17:00を周ってしまっていたので,榛名湖をちょっとながめてバイバイ.

次回はもっと朝早くから,また来たい.上州三山の三個目もいってないし.
でもちょっと遠いので,次は夏あたりで.

5/10/2006

Heat Resistant Neodymium Magnet (Continued)

某リクエストに応えて一次報告.


① W/cad
@ 20min L4
ワークアウト
最初の1分
② W/cad
@ 20min L4
ワークアウト
最後の1分

熱ダレ度
①-②
改造前 2.82 2.61 0.21
2.84 2.63 0.21
改造後 2.95 2.84 0.12
2.93 2.81 0.12

ここで,「W/cad」とはケイデンス1[rpm]当たりの発生パワー[W]を表している.この値が大きいほど,低ケイデンスで同じパワーの負荷を生じている.

改造前はW/cadが20分で0.21降下していたのが,改造後は0.12になった.まだ耐熱ネオジウムを3個増設しただけにしては上出来ではないだろうか.

とりあえず,可逆減磁は軽減された模様.マグネットを追加した分,全体にケイデンスも下げられるようになった.具体的には「最後の1分」の方で7rpm程度下げられた.

ただ,新品のときは③がもっと低かった(0.05付近).やはり痛んだマグネット(9個)も交換しないと,大きな効果は得られないようだ.マグネット3個追加による可逆減磁の軽減度合いから,結果に期待が持てる.

尚,まだ数回しか使用していないので,不可逆減磁度合いは不明.二次報告を待て!

5/05/2006

Heat Resistant Neodymium Magnet (not for the "fuel efficiency")

ネオジウム磁石.
http://www.26magnet.co.jp/seihin/seihin2.html
http://www.26magnet.co.jp/qa/qa23.html
昨今自動車の排気系に取り付けることで燃費が向上すると言われている強力な磁石である.以下は上記URLからの引用.
---------------------
ネオジム磁石
この磁石は熱減磁が比較的大きい磁石です。20℃を100とした場合、50℃で約95%、100℃で約90%に低下します。また、この磁石は可逆範囲が特に狭く、標準品なら約70℃まででなければ元の磁力を回復しません。
---------------------
自動車の排気系はどうしても高温になるため,上記サイトでは使用温度を120~150℃まで高めた「耐熱ネオジウム磁石」も販売されていて好評な模様である.

さて,ネオジウム磁石はその小型・高磁力さから様々な用途に使われており,その一つが自転車用インドアトレーナー(aka. 固定ローラー)である.

Fig.1

Fig.1は筆者愛用・シロモトインドアトレーナーの負荷ユニット部である.本図ではその保護カバー部,およびマグネットプレート部を外してネオジウム磁石(白枠にて図示)を露出させている.

筆 者は普段のL4ワークアウトにも本器を利用している.が,困ったことが一つある.本器には負荷調整装置が無いので,自転車側のギア,ケイデンスを一定に していれば,生じるトルクは一定であると期待される.実際,新品の頃はたしかにそうであった(e.g., 後輪回転速度から出力される速度が41km/hのとき,PowerTapは約250Wのパワーを示す).
※ただしタイヤ・ローラーの接触圧に依存し,また速度とパワーの関係は必ずしも線形ではない.
しかししばらく(e.g., 1-3 month)使い込むと,①「tarmac blog: L4とかL5トレーニングというのは」のFig.2の例のように,ワークアウト中にトルクが急激に低下していき,ケイデンスを上げないとパワーをターゲットゾーンに保てなくなる,および②トルク負荷が全体に低下する,という問題がある.

ギ アをかければ済む? すでにアウタートップ(50-12T)である.じゃあケイデンスを上げろ? またヒルクライムTTをターゲットレースとする筆者にとって,筋力の神経的適応の観点からケイデンスを著しく高めることは必ずしも望ましくない.なによ り,新品のときは問題なかったのだから何とかして欲しい!

上記問題の原因を,筆者は加熱による減磁と睨んでいる.いわゆる「熱ダレ」である.熱ダレには2種類あり,一つは可逆的(=磁力がもとに戻る)な 熱減磁,もう一つは不可逆的な熱減磁である.二六製作所のサイトに書いてある通り,ネオジウム磁石はたったの70℃で不可逆な熱減磁を生じてしまう.使用 後の固定ローラーの負荷ユニットを触ったこ とがおありだろうか? いくらファンで冷却しても,70℃以下に保ていない可能性がある.たまたまファンの風あたりが悪いこともある.素人推測だが,一度不可逆な熱減磁を起こす と,その後より低い温度で可逆的な減磁を起こすようになるのではなかろうか?

そこで先述の耐熱ネオジウムである.
二六製作所から「NE107 ネオジム磁石 Φ8x3(N39SH)」@158円を調達し,エポキシ接着剤にて3個取り付けた.Fig.1でエポキシの「山」に埋まっている円形の物体がNE107である.
N39SHは使用温度150℃であり,ワークアウト中の熱ダレ防止,不可逆な熱減磁の防止効果が期待できる.

尚,本器では磁極をN→S→N→Sの順に配置してあったので,追加マグネットもこれに倣った.Fig.1において赤インキでマークしてある部分が,磁石のN極側である.この並びにどんな効果があるのかはよく分かっていない.
#ご存知の方,お教え頂ければ幸いです.

実際にワークアウト中の熱ダレがどれだけ抑えられるかの測定結果は,GW明けにでも.成功したら,他のマグネット(おそらく不可逆な減磁を起こしている)も剥がして耐熱マグネットに交換してしまう予定.

耐熱ネオジウムの効果があれば,今後は高価な流体負荷装置を使わなくとも,安価でシンプルな磁気負荷装置で,熱ダレの無い良いローラーが作れるかもしれない.


以上,ゴールデンウィークの工作終わり.

これなら折れないだろう

Oakley Racing Jacket.
先ごろProモデル以外は廃盤となり,流通在庫のみ入手可能となった.このグラスはフレームが一体型であり,ルディーとは違ってレンズ枠全体が太く,ちょっとやそっとでは折れなそう.まぁ,もう一回顔面着陸してみないと分からないが....

なぜこのモデルか? これは2004年ジロでMcgeeがプロローグ優勝したときのグラスである.あれは痺れるTTだった.あれ以来これが欲しかった.Jet Blackフレームで,TT用のクリアレンズでなければ!

5/01/2006

The pilot is alive and well.

Fig. 1

Fig. 2

Fig.1はRudy Project社のEXYNOX SXであるが,先日落車して顔面着陸した際に見事に粉砕した.ちなみにライダー(tarmac)は外傷のみで済んだが,目の淵を3針縫うこととなった.
Fig.2は当該ゴーグルの破断面である.赤くみえる部分はマーカーペン等で塗った訳はない.破断面が尖っているのがお分かりだろうか.
良くとればゴーグルがクラッシャブルゾーンとなってライダーを守ってくれた訳だが,悪くとれば鋭利な破断面が害を為したとも考えられる.

EXYNOX SXはレンズとフレームの間にベンチレーション用の空隙があり,破断した部分はちょうどその箇所にあたる.ここが強度上の弱点になっているようだ.もしこ こが破断しなかったら?? O社のMフレームのような,下フレームの無い製品だったら? いずれも想像の域は出ない.

ただ,顔側から落者した場合,まずこの部分がダメージを吸収するから,鋭利に破断するのは好ましくないことは確か.とりあえず,次回はこの箇所が丈夫そうな製品にベットしてみよう.

--------------------------
(追記 2006/5/2)

製造中止になっていてだめかと思ったけど某店に何故かあった!
今度はこれにしよう!

4/26/2006

Lots of L4 things

(1) パワーは持続時間に対して減少する.60分維持可能なパワー(これをMP60と書く)は30分維持可能なパワー(MP30)の92~95%前後.よって, 塩原(30分くらいだよね)のMP30=230Wが正しいとするならば,君のMP60は212~219Wだと思うよ.219Wなら4.29W/kgだか ら,僕より速いはず.

(2) 凸坊さんのモデルは,デフォルトの転がり抵抗係数が大きいかもしれない.ためしにanalyticcyclingのモデルで,つがいけのデータ(これには 僕の実測データから求めた転がり係数を使った)を入れ,君の去年のタイムで計算したら,204Wになった.MP67≒MP60だから,6月当時の君の MP60は204Wくらいじゃないかな.

(3) ちなみにanalyticcyclingのモデルに塩原2日目のデータを入れると,222Wになる.ここから推定される10月当時の君のMP60は204~210Wだ.

(4) 以上より,つがいけから塩原まで4ヶ月のトレーニングを行った結果,MP60は0~3%向上したと推定される.大雑把に言って1ヶ月あたり1%以下の向上しか無かったということだ.

(5) つがいけで君が60分を切るにはMP60=233Wが必要だ.

(6) 昨年どういうトレーニングを行っていたのか知らないけど,おそらく同じやり方ではあと23~29ヶ月以上を必要とする.

(7) MP60とLTにおけるパワーとはほぼ一致し,これはまさにL4トレーニングで向上を図ることができる.よって,他のトレーニングを減らしてL4トレーニングに集中すれば,もっとMP60を向上できる可能性はある.しかし結果は君のDNA次第だ.

(8) 前にも書いたように,L4以上のトレーニングレベルでは,HRによって強度を微妙に調整することは困難であり,効率を追求するといってもやりようがない.それでも,L4までならなんとかならないこともない.
---------------------------
Step 1. 30分TTを行い,後半20分の平均HRを求める.何回か行って平均値を取れ.これがおおよそのLT-HRだ.
Step 2. 95%~105%LT-HRでトレーニングしろ.20分を2本,レスト5分がベーシックだ.固定ローラーでスピードメーターを見ながら行うか,20分のコースでタイムを計りながら行え.2本目が1本目より5%以上遅いなら,1本目のペースが高すぎだ.
Step 3. 以上を週4~5回くらいやっても平気なはずだが,できないなら95%LT-HRを下限として全体にペースを下げろ.
Step 4. 慣れたら20分3本とか30分2本とかにしてもよい.
---------------------------
注: 過去記事「L4とかL5トレーニングというのは」のHR/Powerのグラフを見てくれ.L4トレーニングでは,パワーを一定にしてもHRがこれに追従するまで約10分かかっている.「入り」は慎重に.

(9) 正直,すでにある程度トレーニングを積んだ選手にとって,MP60はあまり短期間に大きく向上するものではないので,1ヶ月では勝算は薄いかもしれない.

(10) 以上のパワーデータは全てPremiumTubular w/RoadGlueで計算した.TrackGlue, TrackGlue, TrackGlue, ....

4/24/2006

What is “TrackGlue”?

先の記事で述べたように,チューブラーを使う場合一般的なRoadGlueの代わりに,TrackGlueを使うことで大幅に転がり抵抗を削減でき,乗鞍 のコースでは1分前後のタイム短縮を期待できる.これはTrackGlueがRoadGlueに比して非常に硬く,ヒステリシスロスを削減するためと考え られる.

TrackGlueとは何か? その正体はなんと“ニス”である.ただし,セラック(shellac)ニスという,やや特殊なものが用いられる.セラックニス自体は木工用品としてホームセンター等で入手可能である.

セラックニスの弱点は,ずばり耐熱性である.つまり,長時間のブレーキングにより溶ける可能性があるのだ.これはブレーキの無いトラックレーサーでは問題無いが,ロードで長い下りを伴う場合は問題となる.TrackGlueはややリスキーな選択なのだ.

そういえば,数年前のTDF,長い下りの途中でベロキの前タイヤが突如ホイールから外れて...という凄惨なシーンが記憶に新しい.もしかすると,当時のONCEチームはリスク承知でTrackGlueを使っていたのではなかろうか.

TrackGlueの使い方や実際の耐熱性については継続調査中だが,特に夏場のレースではリスキーと思わざるを得ない.筆者自身迷っていて,情報収集中である.トラックや競輪をやっている方で,TrackGlueのノウハウをお持ちの方がいれば,是非情報提供願いたい.

shellac関連の参考URL:
http://www.wattagetraining.com/shellac/R.B.T_shellac_post.txt
http://velo.way-nifty.com/velo/2004/07/post_4.html
http://biketechreview.com/v-web/bulletin/bb/viewtopic.php?t=674&sid=e6654e2692a82d6fa91e5431b0a754f2
http://www.shellac.net/faq.html

一番上のURLにわりと詳しく使い方が書いてあるが,素人が簡単に実行できるものとは思えなかった.熱のリスクに加え,さらに使い方もRoadGlueやテープより難しそうだ.どこかのショップでやってくれればよいのだが.

4/21/2006

ヒルクライムITT 機材の影響(転がり抵抗と重量篇)

俗に自転車は機材1割・人間9割などと言われるが本当か.もし1割しか影響がないとしても,競い合う人間の力が同程度ならばその影響は甚大である.これを定量的に検証してみたい.

Fig.1 はあるコース(マウンテンサイクリングin乗鞍)でITTを行った場合を想定し,80~60分のタイムでゴールするために必要な平均パワーを http://www.analyticcycling.com/ForcesTires_Page.html の計算式により求め,機材条件毎にプロットしたものである.尚,本調査ではホイールの空気抵抗の大きさの違いが考慮されていない点は予めご了解頂きたい.

■記号の意味は以下の通り.
- W: Weight of Rider and Bike [kg]
バイク,人体,ウェア,シューズ,ヘルメット等を含めた走行体の全備重量.
- TType: Tire Type
タ イヤ.PremiumTubularとはVittoria Corsa CX, Veloflex Recordといったレース用のチューブラーを指すものと思えばよい.同様にPremiumClincherとはDeda Tre Giro d'ilalia, Vittoria Open Corsa CX, Michelin ProRace2といったレース用のクリンチャータイヤを指す.また,RoadGlueとは一般的なリムセメントを,TrackGlueとはトラックレー シング用の高硬度なリムセメントを意味する.


■コースの条件は以下の通り.
- Slope (平均勾配) = 6.3%
- Elevation (上昇高) = 1260m
- Distance (距離) = 20.0km

■またその他の計算条件としては以下を用いた.
- Air Density (空気密度) = 0.950
- Nominal Crr (転がり抵抗係数基準値) = 0.004
上 記パラメータは,筆者が2005年に上記レースに参加した際の,PowerTapによる実測平均パワーとタイムが,http: //www.analyticcycling.com/ForcesTires_Page.htmlのモデルによる計算結果と合致するように決定したもの である.尚,タイヤ空気圧は全て115psi(8気圧)にて計算した.上記モデルによれば115psi以上の範囲ではどのTTypeでも大差がなかったた めである.

Fig. 1 (クリックで拡大)

■Fig.1より,本調査の範囲内では,タイム(Estimated Time)に関わらず以下のことが言える.
(1) TTypeの違い:
最 も転がり抵抗に優れるPremiumClincherと,もっとも劣るPremiumTubular+RoadGlueとの比較から,同じWなら PremiumClincherを使うことで約2.6%のパワーを削減できると言える.同じパワーならば約113~75秒のタイム短縮を図れ,その短縮量 はタイムが遅いほど大きい.

(2) Wの違い:
同じPremiumClincherで比較した場合,W=68kgとW=69kgでは必要なパワーは1.4%程度増加する.1kgの重量減は65~39秒程度のタイム短縮に繋がり,その短縮量はタイムが遅いほど大きい.

■まとめ
どうしてもチューブラーを使う必要ばあるのでなければ,レースではクリンチャーを使うべきである.大抵の場合,クリンチャーホイール+タイヤ+チューブはチューブラーホイール+タイヤより200~300g程度重量増となるが,これは20秒程度のデメリットにしかならない.
未 検証だがタイムが60分に近づくとカーボンディープリムのような,空力の大幅に優れたホイールの有効性が高まってくることが予想される.カーボンディー プリムの殆どはチューブラー仕様であるため判断に迷うところだが,もしチューブラーを使う場合でもTrackGlueにより損失を最小限に留めることがで きる.

尚,タイムを80分から75分に短縮するには僅か14W出力を向上すればよいが,65分から60分に短縮するためには24Wもの出力向上が必要である.上にいくほど「壁」は厚くなり,わずかなタイム短縮が困難になっていくのだ.
し かしチューブラーによる転がり抵抗の増加は,タイムが80分でも60分でも公平に約2.6%である.もし上位入賞を狙っていて,今チューブラーを使って いる選手は,クリンチャーまたはTrackGlueの導入を検討することが,軽量化よりも表彰台への近道になるかもしれない.
 

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