12/10/2006

コー式

土曜日は雨天であった。先日アマゾンに発注した書籍の一部が納品されたため、ローラー台でL3ワークを行いながら半分くらいまで読んでみた。

読んだのはこれである:
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4469264717/ref=sr_aps_b_/250-4538406-8461042

かのDavid MartinとPeter Coe(ロス五輪800/1500m金メダリストSeb Coeの父)による書である。Hunter/Coggan本をしのぐ濃い本。googleで検索していると、陸上関係に加え自転車関係の人も結構読んでいるようだ。

読んだ範囲では、運動生理学等、少々トレーニングを深く考えてみたい向きにはお奨めの一冊だと思った。理論面から実践面まで事細かに350ページも書かれていて、少し予備知識が無いと噛み砕けないかな、という印象はある。

Cogganその他CF、Wattgeの面子が言っていることと合致する部分・しない部分があるが、その辺はもっと読んでからまた書こう。

 * * *

さて、昨今CogganやLydiardにはまっていた筆者であるが、やはり一部のコーチ、ドクターの見解に留まらず、多様な見方と自分の経験をすり合わせ、より客観的な意見を構築することが望ましい。そういった意味で、ボート、マラソンなど、他のエンデュランススポーツには積極的に目を向けるようにしているし、トラック・サイクリングの世界も興味深い。

そんな中で、上記Coe本も手にしてみた。一つ目を引いたのが、マルチ・ティア(Multi-Tier)アプローチによるトレーニングの期分けである。「期分け」というのは、要するに、ピリオダイゼーションとかのこと。

Coe本では過去のコーチ(Lydiardを含む!)を引き合いに出して、その問題点を指摘している。曰く:

(1) 過去のコーチは ..... 比較的単一の強度レベル(言い換えれば、特定の代謝系やスキル)に、一定期間集中して取り組ませる。このため、他の能力が過度に退化したり、レースにおいて求められる多様な能力の醸成が不足となる問題点がある。

(2) Coe式では ..... 複数の強度レベルを、異なる割合で年中実施することで問題点を解消する。

筆者はマルチ・ティア、と聞いて、↓のCFのスレッドを思い出してしまった。
http://www.roadcycling.net/t309834.html
どうやら、(1)のアプローチを「クラシックなピリオダイゼーション」とも言うらしい。

まぁ、Coeの主張はなんとなく経験則に当てはまるような話ではある。なにより、マルチ・ティアの源流は、他ならぬ「クラシックなピリオダイゼーション」のふるさと、旧東欧圏だという。本家がマルチ・ティアの方をサポートしているということである。

サイクリング業界で言えば、「クラシックなピリオダイゼーション」派に当てはまるのは、Chris Carmichael(Lanceの、少なくとも“表向きの”コーチ)やJoe Friel(“The Bible”... Cyclist's Training Bibleで有名)である。

マルチ・ティア派は、Cyrille Guimard(指導者としては、Cofidisなどの監督を歴任)がいる。その弟子のLemondも含まれる。

だが実際には、上記CFスレッドにも書いてあるように、どちらの派でも結局、一種のマルチ・ティア・ライクなやり方を行っている。Lydiardもそう。LydiardファンのCogganでも、LT(FTP) Focus期に“hard group ride”といったL5/L6エフォートを思わせるセッションが入っている。

2005~2006年シーズン、筆者は冬から春はマルチ・ティア型(ハードなグループライドやクリテリウム形式を週1くらいで取り入れた)、それ以降は「クラシックなピリオダイゼーション」(LTレベルへのフォーカスを強めた)に以降するような形をとった。自分なりに、幅広い基礎能力→スペシフィックなTT能力というアプローチをとったつもりである。

CPSのデータを見ると、確かに春までにより多くのゲイン(少なくとも、20min Normalized Powerに関して)があったようにも見える。

またCoe本やHunter/Coggan本を読むと、運動強度によって動員される筋繊維の量が異なるらしい。つまり、運動強度が上がるにつれ、Type I→I+IIa→I+IIa+IIbとなる。よって特にFTP付近以上でのスピードアップを求めるなら、IIaの持久力を鍛えることが必要であって、そのためにはL5トレーニングが適しているようだ。

 * * *

まとめ .... やはり、なんらかの形でのマルチ・ティアを取り入れた方がよいのではないか。

0 件のコメント:

 

Powered by Blogger

Edit existing posts

Make a new post